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トヨタが目指した80年代バブルな高性能セダン! 60台製作されたTRD製「コンフォート」がヤバすぎました

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: トヨタ/TCD

期間・地域限定で受注販売

チューニングされたタクシーが、ストリートを猛スピードで疾走するというと、リュック・ベッソン製作・脚本のフランス映画『TAXi』を思い出すが、あの映画で主人公ダニエルの愛車だったプジョー・406のタクシーに匹敵するようなクルマが国内にもあった。それがトヨタ コンフォートGT-Zスーパーチャージャー(SXS13Y)だ。

スーパーチャージャーの装着

いまでは、タクシー用車両というとトールワゴンタイプのジャパンタクシー(トヨタ)が主流だが、かつては2リッタークラスのセダンが中心。トヨタのコンフォートは、小型タクシー専用に開発され、教習車仕様も作られた実用一点張りの色気のない、存在感も薄い一台だった。

そんな、コンフォート教習車をベースに、トヨタの特装車やレーシングカーの開発を担うTRDがスポーティにチューニングした限定車が、コンフォートGT-Zスーパーチャージャーだった。チューニングの目玉は、ネーミングどおりスーパーチャージャーの装着である。

ノーマルのコンフォートは、2リッター直4、レギュラーガソリン仕様の3S-FEで、130馬力と非力だったが、これに小倉クラッチ製のルーツブロワ式TX07スーパーチャージャーを追加することで、160馬力までパワーアップ(ハイオク仕様に変更)。トルクは221Nm(22.5kgm)/3300rpm(ノーマルは181Nm(18.5kgm)/4400rpm)と、アルテッツァの3S-GEエンジンよりも力強いものに仕上がっていた。

シャシーは同じタクシー仲間のクラウン(コンフォート)がベースではなく、X80系マークIIセダンからの流用で、しかもサスペンションは廉価版のフロント:ストラット、リア:リンクリジッドの組み合わせ……。

お世辞にもスポーツ向きとはいえないスペックだが、TRDオリジナルのローダウンスプリング(−30mm)と4段階調整式のダンパー、専用スタビライザーとストラットタワーバーを投入し、スポーティにチューニング。タイヤもグリップ力を重視していない「タクシータイヤ」ではなく、フロント205/60R15、リア215/60R15のブリヂストン ポテンザG3をチョイスしている。それにRSワタナベの8スポークアルミホイールを組み合わせるというところが、かなりシブイ。

往年のスポーツセダンテイストを取り入れたスタイリングに

ブレーキも専用のブレーキパッド(リアは専用ブレーキシュー)で抜かりなく強化され、エアロパーツもフロントスポイラー、リアスポイラーが標準。スーパーチャージャーに合わせて、エキゾーストも専用マフラーが用意され、 排気効率だけでなくサウンドチューンも抜かりなし。ノーマルのクローム系の部品はブラックアウト化され、1980年代のスポーツセダンテイストを上手に活かした作り込みに仕上がっていた。

パフォーマンスとしては、パワーウエイトレシオは8.13kg/ps。最高速度204km/hといったところなので、特筆できるスペックではないが、FRの2リッターセダンで、スーパーチャージャー付き。しかもMT車とあれば、今となっては魅力的なパッケージだ。

2003年6月から、東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県のトヨペット店にて期間・地域限定で受注販売。227万~298万1000円という価格設定で、最終的に60台が製作されたと言われている。

TRDのセミバケットシートやエアバッグ付ステアリングにシフトノブなど、インテリアのオプションも充実。LSDや強化クラッチの駆動系、そして大森製の3連メーター(過給圧・油圧・油温)もオプションで選べた。

「走りを忘れかけた大人たちへ贈る、80’sスポーティセダン」がキャッチフレーズだったが、こういうクルマをトヨタのワークス=TRDが製造・販売したところから、「いい時代だった」ことを表している。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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