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キャンピングカーでの約3カ月8000キロ! 63歳一人旅は「人生の期末試験」でした──米国放浪バンライフ:Vol.33

キャンピングカーでの約3カ月8000キロ! 63歳一人旅は「人生の期末試験」でした──米国放浪バンライフ:Vol.33

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TEXT: 牧野森太郎  PHOTO: 牧野森太郎

アメリカを気ままに放浪3カ月:旅の終わりに

これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。LAから北上しワシントン州のオリンピック国立公園まで行った気ままなドライブも終わりが近づき、旅の最初にキャンプ場で出会った老ヒッピー作家、ジェイにもう一度会ってみることにしました。

7月18日 老ヒッピー作家ジェイと再会

ジェイに再会したのは、翌日の午前9時だった。モーターホームの中に向かって声をかけると、彼はまだベッドの中にいた。「誰だ?」と聞くので、「シンタロウだよ」と答えると、彼はのっそりと起きてきた。寝起きのせいかだるそうで、3カ月前よりさらに痩せた印象だった。

ぼくが旅の話を聞かせると、「君がうらやましいよ。オレも、もう一度旅をしたい」と顎を撫でた。そして、「朝食を作ってあげよう。オレも腹が減った」という。一応、遠慮はしたが、結局は一緒に食事をすることになった。「先にスーパーに行こう」というので、3ブロック先まで買い物に出たが、帰り道、彼は何度も立ち止まってしまった。

なんとかモーターホームに帰り着くと、薬と注射器を出してきて、たるんだ腹にインシュリンを打った。そして、「もう大丈夫だ」と疲れた笑顔を見せた。時間をかけてカリカリに焼いたベーコンとバターが効いたオムレツは、最高においしかった。自分でもよく作るメニューだが、ジェイのほうが一枚上と素直に脱帽した。

レイク・カシータスのキャンプ場で帰国準備

午後4時、ぼくはレイク・カシータスのキャンプ場に移動した。水のタンクを空にして、グレーウォーターをダンプステーションに捨てた。そして、エアコンを効かせた室内で帰国のための荷物をまとめた。

じつは、この3日間ほど冷蔵庫が不調だった。プロパンガスで稼働しなくなってしまったのだ。きっと、売るだの、売れないだの、手放すだの、そんな話ばかりを考えていたので、「ドル」が腹を立てたのだと思う。しかし、最終日、彼の意地悪も収まった。今までどおり、冷蔵庫もきちんと動くようになった。

荷物もなんとかまとまり夕食の準備をしていると、ジェイから「どこにいるんだ?」とメールが届いた。カーピンテリア・ビーチを出るとき、彼のモーターホームに寄ってみたが不在だったので、そのまま出てきてしまったのだった。

「もう移動したよ」と返信をすると、「じつは深刻な糖尿病とステージ4のガンなんだ。それを君に伝えたかった」という。ぼくは考えた末、「次に会うときは、フライフィッシングを教えてよ」と、一言だけのメッセージを送った。

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