3000万円を大幅に超える、記録的ハンマープライスの理由は?
BMW M3スポーツ・エヴォリューションの生産台数については、規定台数の500台ほか諸説あるというが、RMサザビーズ社のカタログでは1989年12月から1990年3月にかけて600台が生産されたという説をとっている。
今回「The M Power Collection」からRMサザビーズ「Villa Erba」オークションに出品された個体は、ミュンヘン郊外のBMW M部門ガルヒンク・ファクトリーから1990年1月25日にラインオフ。フランクフルト・アム・マインの「Helm Glöckler」社を介して納車され、1990年7月18日に引き渡し検査および登録が行われたという。
約2000kmの初テスト走行はその1週間後に行われ、その後32年間で記録簿には14回の整備スタンプが押されてきた。
そして、2020年12月2日に「The M Power Collection」の1台として登録されるまでは、DTMで有名な「シュミット・モータースポーツ・テクニック」のシュミット・ファミリーのもと、その生涯の大半を過ごしたことが判明している。
M3スポーツ・エヴォリューションではブラックが比較的多数を占めていた中、この個体のような「Brillantrot(ブリリアント・レッド)」のボディカラーに「アンスラサイト」のインテリアを組み合わせ、エレクトロニック・ダンパーコントロールを装備した車両は、ドイツ本国でもわずか8台のみが登録されたに過ぎないとのことである。
また、この個体にはエアコンディショナーに電動サンルーフなど、当時人気の高かったオプションを装備し、現時点においてもサービスブックとマニュアルが付属されていた。
1980〜90年代の「ヤングタイマー」人気に沸く近年のクラシックカー/コレクターズカー国際市場においても、E30系M3はスター的な人気モデル。スタンダード版でも1000万円超えは当たり前となっている。さらに「役モノ」となるエヴォリューション3モデルには2倍以上の高値がつくが、さらにスポーツ・エヴォリューションは国内外のマーケットでも格別とされているようだ。
くわえて、ヴィラ・デステのコンクール本選や、ヴィラ・エルバのコンクール一般公開会場では、主催母体でもあるBMWの素晴らしいクラシックモデルたちが、主役ないしはゲストとして登場することに影響を受け、隣接するオークション会場もBMWに対して購買意欲が高まりそうなことから、2023年5月20日の競売はなかなか白熱するかと思われていたが、その予想はみごとに的中したといえよう。
終わってみれば21万2750ユーロ、現在の日本円に換算すれば約3260万円という、驚きの高値で落札されることになったのである。






































































