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N1仕様「R32 GT-R」が「名車再生クラブ」で蘇った! FSWを225キロで全開走行「当時よりエンジンは全然調子いい」

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TEXT: GT-R Magazine  PHOTO: 大西 靖

  • 走り
  • パワー系は基本的にほぼノーマルで冷却系の強化がメイン。エンジンは一度完全に分解された後、純正部品を使用してO/Hが施された
  • サスペンションは当時のパーツが入手できなかったため、TEINのMONO RACINGを装着。キャリパーはVスペック用のブレンボだ
  • なんとステアリングやシフトノブは当時も純正を使用。「一番使い慣れているから」とは加藤氏の弁。ベース車両はGT-R NISMOだ
  • 当時の規定ではスリックタイヤは使用できず、いわゆるSタイヤを装着していた。今回はファルケン・アゼニス RT615をチョイス
  • 当時のNISMOロゴがデザインされたバケットシート
  • 現在、神山氏(左)は主にNISMOロードカーを担当、加藤氏(右)は車両実験部の後進育成を手がけている
  • N1仕様とはいえチューニングカーよりもおとなしいジェントルな排気音。ニスモフェスティバルでも走りを披露している
  • 約1年に及んだレストア作業のみならず、マシンの運搬や当日のメカニックもすべてNTC(日産テクニカルセンター)の社員が担当
  • 富士の専有枠でシェイクダウンを実施。転がし程度の確認はしたというが、レストア終了後に全開走行をするのはこの試乗が初だった
  • ストレートで255km/hと当時と遜色のない性能を披露した
  • 今も現役でテストドライバーを務める神山幸雄氏(右)と加藤博義氏(中央)に加え、当時のチーム代表・渡邉衡三氏(左)も駆け付けた
  • R32の復活に携わった名車再生クラブのメンバー
  • R32 GT-Rらしい軽快な走りを取り戻した

実験部隊を鍛えたN1マシンの記憶

「日産自動車」の貴重な名車を動態保存するための活動を行う「名車再生クラブ」。2006年に「日産テクニカルセンター」内の開発部門従業員を中心に発足したクラブで、休日などの勤務時間外を利用しながら、座間記念庫などに保存されているヘリテージカーを年に1台のペースでレストアしている。

(初出:GT-R Magazine168号)

車両実験の一環として参戦! 後の開発にも役立った1台

16台目の再生車両として選ばれたのが、1990〜1992年までの3シーズンにわたり、同社の車両実験部チームでN1耐久レースに参戦したR32「スカイラインGT‒R」。当時、R32の実験主担を務めていた渡邉衡三氏が企画したプロジェクトで、ドライバーは加藤博義氏、松本孝夫氏、神山幸雄氏など、栃木の車両実験部トップガンを招聘。メカニックやチーム運営などすべてを実験部の社員でまかなった手弁当のチームだった。

現在のスーパー耐久はスーパーGT GT300クラスにも参戦するFIA GT3仕様のR35 GT‒Rがエントリーしているが、前身のN1耐久は改造可能な範囲が狭く、ほぼ量産車に近い仕様で戦うカテゴリーだった。

「実戦の場で実験部のドライバーやメカニックたちに経験を積んでもらうのが主たる目的でした」と、2021年12月に開かれたキックオフ式で当時チーム代表を務めた渡邉衡三氏は語っていた。

2022年11月9日、快晴の富士スピードウェイに持ち込まれた実験部チームの46号車は、まるで新車のような輝きを放っていた。

「なんだか当時よりもキレイじゃないですか!」と加藤博義氏。

まずは神山幸雄氏が車両チェックを兼ねてアウト/イン走行。各部チェックを終えた後、5ラップ連続周回を行った。久々にドライブしたR32の印象を聞くと、

「当時のフィーリングにかなり近いです。ちょっとフロントのグリップが弱いですけど、7〜8割のペースで走るには十分。ボディもしっかりしていますし、今乗っても速くて本当に楽しめるクルマだと感じました」

とその仕上がりに太鼓判を押す。その後、神山氏と交代してステアリングを握った加藤氏は、

「直線で225km/h出ましたよ! 当時はたしか230km/hくらいだったと思いますけど、われわれがやってたころよりもエンジンは全然調子良い(笑)。あのころは自分や松本孝夫がクルマを作っていましたから」

とうれしそうに語ってくれた。

今も現役のふたりが口を揃えるのは、N1に参戦したことで得た経験がその後の車両開発やドライビングに大きな影響を与えたということ。テスト走行とは異なる環境での貴重な体験は、後のGT‒Rの開発に大いに生かされたという。このN1仕様のR32は、第2世代GT‒Rの実験車両としても重要な意味を持つ1台だったということだ。

テストドライバーのふたり

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