パリ・ダカール・ラリーで優勝
C303のメカニズムでもうひとつ注目したいのは、フロントミッドに搭載されるエンジンだ。これはボルボが1968年秋に販売を開始した大型ファミリーサルーンの「164」に搭載された、「B30」型エンジンがベースとなっている(プロトタイプではそれ以前のB20型が使用されていた)。
このエンジンの特長であるスムーズさや静粛性は、もちろんこのC303でも同様に感じることができる魅力のひとつ。最終的にボルボはこのC303を8718台生産するが、1983年のパリ・ダカール・ラリーでは、車重10トン未満のカミオン(トラック)クラスで優勝するなど、モータースポーツの世界でもその存在を世界に知らしめている。
じっさいに民間に販売されたC303は全体の25%ほどと推定されるが、その中にはマレーシア陸軍や、マレーシア警察、テレコム・マレーシアなども含まれるというから、個人オーナーがそれを所有する例はさらに小さな数字となるだろう。今回出品されたモデルは、1976年式のTab11。そのコンディションは年式や用途を考えれば比較的良い部類に入り、それを証明するかのように3万4500スイスフラン(邦貨換算約562万円)という落札価格でオークションは終了している。
ウォーン社製の電動ウインチ、BFグッドリッチ社製のオール・テレインT/Aタイヤ、前後に取り付けられたスポットライトなどのオフロード装備を考えれば、さらにそのコストパフォーマンスは高くなる。最終整備が2022年に行われているのも安心材料だ。