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トヨタ「キャバリエ」の主査は「プログレ」や「センチュリー」も担当していた!? 実は丁寧に「トヨタ化」された心地よいクルマでした【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

  • 1996年1月に販売スタートしたトヨタ キャバリエ。セダンとクーペがラインナップされた
  • シボレー キャバリエの3代目(1995年)をベースに仕立てられたモデルだった
  • 単に右ハンドル化するだけでなく、ペダル配置、シート位置などが細かく日本向けに修正された
  • 決して静謐ではなく、決して高級感を前面に出しているわけではないまでも、メカ的にストレスなく自然体でクルマが走る雰囲気が味わえた
  • 全長4595mm×全幅1735mm×全高1395mm(セダン)と、当時のトヨタ車では中級クラス相当のボディサイズ
  • レバー類やスイッチ類まで細かく日本仕様とされていた
  • タイヤはオールシーズンが標準(セダンが14インチの70、クーペは15インチの65だった)
  • リラックスした気分で穏やかに走らせるとクルマの魅力を引き出せる印象だった
  • 1996年1月に販売スタートしたトヨタ キャバリエ

3代目シボレー キャバリエのトヨタ版

かつてGMにあったシボレー「キャバリエ」は初代が1982年に登場しており、トヨタ「キャバリエ」はその3代目(1995年)をベースに仕立てられたモデルだった。ちなみにキャバリエの車名自体は、もともとはイギリスのボクスホールがGM/オペルつながりで1975~1995年まで生産していた車種の名で、このモデルは1981年登場の2代目からはGMの世界戦略車のJカーへと発展。このJカーの兄弟車には、いすゞ初代「アスカ」、オペル「アスコナ」などがあった。

日米貿易摩擦への是正策として輸入してOEM販売することに

話をトヨタ キャバリエへと進めると、このクルマは当時、アメリカとの貿易不均衡(安く品質のいい日本車がアメリカで売れていた)を是正するためのいわば策のひとつ……そんな背景から誕生したクルマだった。

じつは当時、発売前にとある場所で試乗と実車に触れる機会があり、そこでこのキャバリエの開発主査(というより担当主査)から話を聞いた覚えがある。覚えがある……などと曖昧な表現なのは、その時の取材がどういうわけか本や記事として日の目を見ることがなかったからで、したがって通常であればさまざまな事実関係の裏付けとなるような本、資料などがまったく手元にないからだ。

ただし筆者の記憶を頼りにすれば、キャバリエの主査を務めたのは当時、前後して「プログレ」、2代目「センチュリー」などの主査もおやりになったNさんで、取材現場で直接話を聞いたのは確かだったはず。で、その話を聞きながら、日米の関係を悪化させないためにトヨタがひと肌脱ぎ、その陣頭指揮に当たったのがNさんなんだなぁ……と思った覚えがある。

単なるバッジエンジニアリングではなく細部までしっかり「トヨタ化」

そんな実車だが、ともかく微に入り細を穿ちといった感じで、かなり力の入った「トヨタ キャバリエ化」が実行されていたのは事実。

「コクピットを右ハンドル化するのにともない、日本人の体格に合わせたステアリング位置、ペダル配置、ヒップポイントをセッティング。ターンシグナルレバー、ワイパーレバー、パーキングブレーキレバーなど各スイッチ、レバー類も、改めて適切な場所に配置しました。」(カタログより)などはその一例。

ペダル配置、シート位置を修正した話はたしか取材現場で主査のNさんから直々に聞き、「トヨタらしいなぁ、神経が細やかなNさんらしい話だなぁ」と思ったことをよく覚えている。

ターンシグナルレバーとワイパーレバーがステアリングコラムの左右で入れ替えてあったのが現車を見ればわかったことだが、ターンシグナルレバーは、当時の他の近いクラスのGM車(ポンティアック「グランダム」)などはレバーを倒すとパチン! と強いクリック感が返ってきた覚えがある。だが、キャバリエではそういう記憶がなく、あるいはレバーそのもののモノが違ったか、操作タッチもチューニングされていたのかもしれない。

メーターもスピードメーターが180km/hフルスケールで、内側にマイル表示の併記がないものとなっていたこと、どれかのトヨタ車で見覚えのある電動格納式リモコンドアミラーのスイッチが備わっていたことなどは運転席に座って見回して発見できることだった。チルトステアリングも、ことによるとステアリング位置の修正にともない、日本仕様で追加された機能だったかもしれない。

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