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129.9万円で輸入車を買えた時代があった! クライスラー「ネオン」は日本車キラーになれませんでした【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎七生人

  • 日本市場では初代が1996〜1999年に販売されていた
  • 全長4370mm×全幅1720mm×全高1370mmのコンパクトなボディサイズ
  • カタログには、「日本のユーザーニーズに応えた仕様と装備」とも書かれていた
  • 2Lエンジン(134ps/17.8kgm)+3速ATによる動力性能は、アクセルを踏み込めばザーッと力強く加速してくれた……気がする
  • パワーウインドウはカタログの装備表にも(前席)とあるように、後席は省かれていた
  • カップホルダー、パワードアロック、トランクオープナーといった機能は標準装備だった
  • 安全性も当時としては高かった
  • 一瞬で市場から姿を消したものの2代目が登場
  • クルマそのもののクオリティが大きく向上したと当時は評価された
  • 型破りといっていいコンパクトなボディサイズだったネオン

大らかさがキャラのごく普通の小型乗用車だった

クライスラー ネオン。記事としてこういう書き方はどうかと思うし、筆者自身の記憶力の問題もおおいに関係したことでもあるのだが、正直なところ非常に印象の薄いクルマだ。もちろんクルマそのものの登場時のインパクトは決して小さくなかった。

当時のカローラ、サニーの1.5L車並みの価格

前後してGMから登場したサターンと同じく、アメリカ国内をはじめ各国市場で日本車キラーの責務を背負って投入されたモデルである。全長4370mm×全幅1720mm×全高1370mmのコンパクトなボディサイズは、それがアメリカ車だとは俄には信じられないような、まさしく当時の日本のミドルクラスセダンに匹敵するほどの小振りさで、そのこと自体は注目に値した。だが、セールス的には芳しい成績を残すことはできず、日本市場では初代が1996〜1999年、2代目も2000〜2001年で販売を終了。儚くも姿を消したのだった。

1979年12月1日に発売されたYUMINGの9作目のアルバムのタイトルに「悲しいほどお天気」というのがあったが、今、手元にある当時のネオンの立派なカタログ(2代目も含め3冊を保管していた)を見ると、そういう気持ち(=アルバムタイトルのような気持ち)になる。「礼をつくす会社」と打ち上げたサターンもそうだったが、アメリカの大メーカーの力をもってしても、ことに日本市場では日本車をはじめとした小型車市場の牙城を崩すことは並大抵のことではなかったのだった。

ただしアメリカ市場では9000ドルを切る(当時の換算で80万円程度)価格設定で人気を博し、レンタカーなどでもおなじみの車種にもなっていた。ちなみに1996年6月に導入された最初のネオンのラインアップのうちのベースモデルは、5速MTながら2Lエンジンを積み、何と129.9万円の価格設定で、これは当時のカローラ、サニーの1.5L車並み、あるいはグレードによっては安いくらいだった。

ところでアメリカ生産(メキシコでも生産された)のネオンというクルマ、当時のクライスラーとしてはまさに新しいコンセプトのもとに生まれたクルマだった。型破りといっていいコンパクトなボディサイズだったのもそのひとつ。そのうえで、“エッグデザイン”と呼んだ丸型ヘッドライトを配置したスラントノーズを採用したフロントまわりをはじめ、驚くほどシンプルな造形だった点も印象的だった。

ただし実はそれは、同世代のクライスラーのセダンの流儀にも則ったものでもあった。日本のホンダは今でもMM思想を謳うが、当時のクライスラーもカタログでMM論理(Maximum space for man/Minimum space for machine)と謳い、フロントガラスを思いきり前進させたキャブフォワードのデザインをとっており、当時、アメリカの街中でもよく見かけた同じクライスラー・ディビジョンの上級モデル、ストラトス、ビジョンといった4ドアセダンと相通じるフォルムに仕上げられていた。その意味では立派なクライスラー製4ドアセダンの一員であることのアピールも忘れなかったのである。

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