207台生産されたうちの121番目のモデル
959にはコンフォートとスポーツという2タイプのトリムがあったが、今回紹介するのはシートベルトやエアコン、キャビン断熱材、レザーシート、アジャスタブル・サスペンション等を標準装備するコンフォート仕様。当時の価格は42万ドイツマルクと記録されているが、1台販売するごとに、ポルシェはそのコストの半分を失ったという。959の新車価格は驚くほどのバーゲンプライスだったのだ。
121番の生産ナンバーを持つこのコンフォート仕様の959は、207台が生産された中で1987年、121番目にラインオフされたモデルだ。ファーストオーナーはハンブルグを拠点とする不動産投資家の女性で、1990年10月までそれを所有していた。
その後2000年5月にはアメリカ・オハイオ州のコレクターに売却され、フロリダの有名なポルシェ・スペシャリスト「FVD Brombacher」とカリフォルニアの「Callas Rennsport」によって改めて整備が施された。
今回のオークションへの委託者、つまり最新のオーナーはやはり熱狂的な959のファンで、2023年5月から2024年1月までの間にカリフォルニアの有名なショップでメンテナンス作業などのために投じた資金はじつに6万ドル弱(邦貨換算約1060万円)。この中には959SCパフォーマンス・サスペンションやシーケンシャルターボチャージャーシステム全体の点検といったメニューも含まれている。
170万~185万ドル(同2億9920万円~3億2560万円)という強気のエスティメートを提示したRMサザビーズだが、落札価格はコンディションの素晴らしさや、サスペンションのアップグレードなど、さまざまなポイントを評価して、175万ドル(同3億800万円)という数字になった。その値上がり傾向はまだまだ続きそうだ。