日常的にメンテナンスが施された1台
2024年3月1日〜2日、RMサザビーズがマイアミで開催したオークションにおいてランボルギーニ「ディアブロVT」が出品されました。走行距離は1万7000kmと少ないですが、積極的にメンテナンスが施された1台でした。詳細をお伝えします。
4WDを取り入れたディアブロ
「カウンタック」の後継車としてランボルギーニが1990年に生み出した、新型V型12気筒ミッドシップ「ディアブロ」。基本的にカウンタックとアーキテクチャーを等しくするもので、したがってカウンタックのチーフ・エンジニアであったパオロ・スタンツァーニが考案した、V型12気筒エンジンと5速MTのパワーユニットを縦置きし、一般的なフロントエンジン車とは前後逆方向に搭載、トルクは最先端の5速MTで180度方向を変えてリアのデフに送られるという独創的なパワートレインの設計も、ディアブロでほぼそのまま再現された。ただひとつスタンツァーニがカウンタックで実現できなかった夢に挑戦するチャンスを胸の中に秘めながら……。
その夢とは4WDの駆動方式を実現することだった。ディアブロの開発でチーフに抜擢されたルイジ・マルミローリは、その夢と意義を十分に理解しており、ディアブロの開発初期から、それに対応するためのさまざまな設計を展開していた。
結果ディアブロに採用された4WDシステムは「VT」と呼ばれるもので、これはビスカスカップリングを使用して、後輪がトラクションを失った場合に最大25%のトルクを前輪に送ることができるシステム。そして4WD仕様のディアブロ、「ディアブロVT」は、スーパースポーツ=RWDという常識を覆し、スタビリティの高さで、その走りを体験した者を圧倒したのである。
VTのデビューは1993年だが、1998年にランボルギーニの親会社となったアウディが、4WDモデルを中心に位置付けるよう、徐々にプロダクト構成の見直しをしていったのは周知のとおりである。ちなみに2000年モデルの6.0以降は、生産されるディアブロの全車は4WDの駆動方式に統一され、後継車の「ムルシエラゴ」もまた4WDモデルのみがラインアップされた。