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ルーフ「ターボR」が約2億3000万円で落札! 空冷ポルシェの究極ストリートマシンのカスタムメニューとは

ルーフ「ターボR」が約2億3000万円で落札! 空冷ポルシェの究極ストリートマシンのカスタムメニューとは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

驚きの2億3000万円で落札!

この「グランプリ・ホワイト」にブラックの本革レザーインテリアを組み合わせた1998年型RUFターボRは、北米唯一のRUF総代理店オーナーの個人的なコレクションであり、おそらく世界究極の空冷ストリートマシンである。

プファッフェンハウゼンの工場でわずか15台が生産され、ユニークな 「W09」のVINプレフィックスと、各クライアントのオリジナル仕様に合わせたRUFのモディファイによって区別される。

このターボR固有の仕様としては、ブラックレザーで美しくラッピングされた一体型ロールケージ、RUF用ビルシュタイン製フルスポーツサスペンション、19インチアルミ製センターロックホイール、そしてRUFの最新カーボンセラミックブレーキパッケージなどが含まれ、前輪の6ピストンキャリパーと後輪の4ピストンキャリパーは、マッチングしたアシッドグリーンのペイントで仕上げられている。

また1980年代からの伝統にしたがって、993世代でも残されていたサイドウインドウ上のレインガーター(雨どい)も削りとられ、その特別な血統を示すもっとも微細な手がかりとなっているうえに、専用のカーボンファイバー製フロント/リアバンパーとフェンダーには、ヒートエクストラクターとオイルクーラーが内蔵され、エンジンとブレーキを十分に冷却する。

さらに、このターボRはRUFが自社開発した6速マニュアルトランスアクスルとAWDシステムが組み合わされているのだが、興味深いことに同時代のターボRの一部やCTR2に見られたトルクベクタリング調整機構は装備されていない。

したがって、いかなる電子デバイスの補助も受けない純粋な全輪駆動マシンであり、シンプルながら獰猛なパワープラントと協調するスポーティなシャシーは、ダイレクトなレスポンスと、剛健にしてしなやかな乗り心地をもたらすという。

そして2022年10月、今回のオークション出品者でもある現オーナーは、このターボRをプファッフェンハウゼンに送り返し、チューニングとツインターボチャージャーの大型化を含む8万8000ドル分の追加アップグレードを施した。これらの再チューニングよって、最高出力は560psまで増強されるとともに、まったく新しいレベルのパフォーマンスが引き出された。

また、リッチなブラックレザーのインテリアには、アシッドグリーンのレザーインサートとアシッドグリーンのコントラストステッチでトリミングされた、フルハーネス式シートベルト対応のカーボンファイバー製スポーツシートなど、RUFの魅力がふんだんに盛り込まれている。

このスパルタンなキャビンに身を沈めたドライバーは、ビレットアルミニウムのペダルとハイコントラストのRUF製メーターによって、エキゾチックなボクサー6ターボエンジンのもたらすポテンシャルを最大限に引き出すことができる。

くわえて、ブラックレザーとアシッドグリーンを基調とした内装は、小径のRUFスポーツステアリングホイールにシフトブーツ、ダッシュボード、軽量ドアカードに至るまでコーディネート。インテリアの連続性と質感の高さは、ほかに類を見ないレベルにある。

また、ブルートゥースに「CarPlay」、USB機能も備えた最新のヘッドユニットにより、最新鋭のスポーツカーに匹敵する快適さと利便性を、すべて享受することができるとのことである。

現在のマーケットにおいて、生産台数も非常に少ないRUFターボRを手に入れる機会は、これから先もそうそう繰り返されることはないだろう。そんな状況のもと、最新の包括的アップグレードからわずか3276マイル(約5240km)しか走行していないとされるこの見事なターボRは、その別世界のようなトラクションと驚異的なパワーデリバリーで、最近のスーパーカーを凌駕する準備が整っているとのこと。

そして、150万ドル~180万ドルという、ポルシェとチューンドカー双方について門外漢である筆者などには想像もつかないほどに高額のエスティメート(推定落札価格)が設定された。

これは、どちらかといえば過大評価にも思われたのだが、そんな予測は不見識ゆえのものだったようで、オークションが終わってみれば151万7500ドル。日本円に換算すると約2億3000万円で競売人の掌中のハンマーが鳴らされることになったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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