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フィアット「500」の謎の振動がやっと解消! 飛び散るオイル問題は果たして解決されたのか…!?【週刊チンクエチェントVol.35】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)

エアコンがないのにダッシュパネルにベンチレーションを装着?

もうひとつ、これもノウハウのひとつと言っていいと思うのだけど、何とゴブジ号のダッシュパネルにベンチレーションがついていた。チンクエチェントはエアコンなんて概念すらない時代に生まれたクルマだから、もちろん空調装置は備わっていない。いや、三角窓という誰が発明したのかわからない素晴らしい装置があるから、走ってるときには左右のその部分から車内にいい具合に風が導かれてほどほどの暑さまでなら「ああ、涼しい、気持ちいい」と勘違いできるのだけど、強制空冷的な装置がひとつ、追加されていたのだ。

この時代のチンクエチェントのダッシュパネル中央には灰皿が備わってるのだけど、それをポコッと取り外すとフレッシュエアが飛び込んでくる。その流れを整えて風向きを変えることのできるベンチレーションが備わっていた、というわけだ。平井社長によれば「試しにつけてみただけ」ということで、見る限りではほかのクルマのパーツを流用してるようなのだけど、この灰皿を外した孔にそのままスポンと収まって機能するパーツを見つけ出すのも、それは立派なノウハウだ。昨今の日本の凶暴な夏の暑さはエアコンなしのクルマのユーザーには厳しいことこのうえないのだけど、これひとつでだいぶ違う。ぜひとも商品化してほしいパーツだな、なんて感じさせられたものだった。

けれど、そのプロフェッショナルをしても、エンジンルーム内のどこから微かにオイルが漂い出すのか、今回の入庫の間には見つけられなかった。高速走行時などエンジンの負荷が大きなときに、それもほんの微かに噴き出すような感じだから、それを工場内で再現するのは難しい……というかほぼ無理。エンジンルームの中の疑わしいところいくつかに白い紙を近づけ、エンジンの回転を上げてみてオイルが付着するかなど、あれこれチェックはしてくれたのだけど、特定には至らなかったのだ。

そこに関してはオイルの残量を小マメにチェックしながら様子見、ということにせざるを得ない。スティルベーシックが特注で作らせてる気密性を高めるオイルを入れてもらって、夕方に差しかかった時間、僕は静岡を後にして東京へと向かうことにした。

新東名高速の左車線を例によって左側ベタベタ、速度計70km/h、GPS80km/hで走る。いや、実に快適だ。振動のない世界というのは、実に心地いい。チンクエチェントってこんなにも滑らかに走るのか……なんて何度も嬉しい気持ちになりつつ、それでも最初はサービスエリアごと、次第にひとつおきにエンジンフードの裏側とオイル量をチェックしながら、目黒のハズレにある自宅を目指す。

んんん……やっぱり噴いてるな。

フィールとしてはエンジンも快調で、体感的にはほかの499.5ccのノーマル・チンクエチェントよりも速いと感じられるし楽しいのだけど、それだけが気掛かり。そういうとき(だけ)僕は神経質になる。ちょっとばかり不安な気持ちになったのは、その数日後、僕はゴブジ号のステアリングを握って神戸まで走って行く予定があったからだ。チンクエチェント博物館主催の「関西トリコローレ」というイベントが開催されることになっていて、そこで皆さんにお披露目をする計画だったのである。

とりあえず目黒のハズレに到着して屋根付きの有料駐車場にクルマを入れ、オイルが付着してる部分を写真に収め、自宅に戻る。普通なら2時間半程度なのに倍の時間を費やして走ってきた身体を湯船に漬け込みながら、僕はこんなことを考えていた。

途中で継ぎ足すほどじゃなかったけど、見た目、結構オイル噴いてる感じだよなぁ……。明日、パーツクリーナーで一度エンジンルームを綺麗にしてから、いろんなシチュエーションでオイルの噴き出し具合を試してみないとな……と。だって、また途中で停まっちゃうなんてイヤじゃん……。

■協力:チンクエチェント博物館
https://museo500.com

■協力:スティルベーシック
https://style-basic.jp

■「週刊チンクエチェント」連載記事一覧はこちら

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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