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バブルカーの代表…BMW「イセッタ300」は予想を上回る420万円で落札! キャビンスクーターのバブルは落ち着きを見せ始めています

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

陽気な青白ツートーンカラーに赤い内装の個体

2024年10月初旬、「Hershey 2024」オークションに出品されたBMW イセッタは、1957年に生産された4輪モデルの300cc版。この種の大衆車にはありがちなことだが、新車時代からの来歴については途絶えており、今回のオークション出品者でもある現オーナーが、2017年にフロリダから譲り受けるまでの歴史は不明のままである。

ただし現状のコンディションは非常に良好であるうえに、現オーナーのもとでブレーキのリビルド、キャブレターのリビルド、燃料タンクの交換など、約6000ドルを投じたメカニズム系の整備も施されているとのことである。

くわえて「ブルーとホワイトのツートーンカラーの外装にレッドの内装という陽気なカラーコンビネーションは、イセッタの魅力的なプロポーションに完璧にマッチしている」と公式オークションカタログ内ではアピールされていた。

一部の突出した個体を除けば、おおむねリーズナブルな価格で売買されている

このBMW イセッタについて、RMサザビーズ北米本社は「よく手入れされたこの素敵なイセッタ300は、次のオーナーに限りない笑顔と喜びをもたらす準備ができている」というPRフレーズを添えるとともに、1万5000ドル~2万5000ドル(当時のレートで約220万円〜約370万円)という、ひところの「カビネンローラー・ブーム」時代を思えばリーズナブルにも感じられるエスティメート(推定落札価格)を設定。また、この出品ロットについては「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行うこととした。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、たとえ出品者の意にそぐわない安値であっても落札を回避できないいっぽうで、確実に落札されることから会場の購買意欲が盛り上がり、エスティメートを超える勢いでビッド(入札)が進むこともあるのがメリット。

そして迎えたオークション当日の競売では、出品者側の希望どおりビッドが順調に伸び、終わってみればエスティメート上限突破を達成した2万7500ドル。つまり、日本円に換算すれば約420万円で無事落札されることになったのだ。

ドイツで発達したことから「カビネンローラー」(キャビン付きスクーター)や、英語の「キャビンスクーター」あるいはボディ形状から「バブルカー」などとも呼ばれる小さなクルマたちは、2010年代以降にアメリカを中心に巻き起こり欧州や日本にも波及した「バブルカー・バブル」により、オークションでも軒並み高評価を受けてきたのだが、ここ数年でマーケットは落ち着きの傾向を見せ、一部の突出した個体を除けば、おおむねリーズナブルな価格で売買されているようだ。

今回のハンマープライスも、そんなマーケットの現況を反映したものといえるだろう。

>>BMWの専門誌「BMW LIFE2」はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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