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片耳ミラーの「テスタロッサ」は別格! バブル時代に憧れたフェラーリが不動車でも3200万円と高値に…「モノスペッキオ」は大人気です

片耳ミラーの「テスタロッサ」は別格! バブル時代に憧れたフェラーリが不動車でも3200万円と高値に…「モノスペッキオ」は大人気です

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

長らく静態保存だった個体でも、約3233万円のハンマープライスが……

フェラーリ本社の生産データによると、2024年12月のRMサザビーズ「Dubai」オークションに出品された「モノスペッキオ」、シャシーナンバー「61337」は、ル・マン24時間レースにおける活躍でも有名なフランスのフェラーリ正規輸入代理店「シャルル・ポッツィ(Charles Pozzi)」社を介して、1985年12月に新車としてファーストオーナーに納車された左ハンドル仕様車とのこと。おなじみ「ロッソ・コルサ」のボディカラーに、「ペッレ・ベイジェ」の英国コノリー社製レザー内装という、フェラーリのクラシックカラーで仕立てられている。

このシャシーナンバー「61337」の初期の歴史についてはあまり知られていないそうだが、2003年11月にドイツのザールブリュッケンにある「アウトハウス・シュプラウ(Autohaus Sprau)」社によって、エンジンを降ろしてのフルサービスと、この時代のフェラーリでは必須のタイミングベルト交換が行われたことは、添付の請求書から判明している。

そののち、このテスタロッサは2005年12月にフランスの著名なコレクター、故マルセル・プティジャン氏によって購入された。前世紀から自身の自動車ミュージアムを開設しようという野望を抱き、数多くのスーパーカーを蒐集していたとされるプティジャンは、2022年2月までこのフェラーリを所有し続け、そのあとは今回のオークション出品者でもある現オーナーのもとに譲渡された。

さらに、現オーナーのもとで中東に輸送されたこの個体は、シャシーとエンジンがマッチングナンバーを保持しているほか、純正ジャッキやスペアホイール、センターロックのハブボルトのための専用スパナ、純正ツールロールなども添付して出品された。

しかし、これまで大量に売りに出された「プティジャン・コレクション」のスーパーカーたちと同様、長らく室内で静態展示に供されていたことから、実際に走らせる前には再点検と再調整が必要とのことであった。

一定の手間と費用がかかっても「モノスペッキオ」が価格に反映された

ところで、今回のRMサザビーズ「Dubai」オークションは、舞台はドバイながら売買はすべて米ドル建て。そして同社欧州本社の営業部門は「特徴的なシングルミラーのデザインが施されたこの初期型『モノスペッキオ』は、フェラーリ愛好家にとってひときわ目立つ存在であることは間違いない」というPR文を添えて、16万ドル~22万ドル(当時のレートで約2368万円〜邦貨換算約3256万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定することとした。

そして迎えた競売では、エスティメート上限に近い21万8500ドル。当時のレートで日本円に換算すれば、約3233万円とけっこうな価格で落札されることになったのだ。

今回のオークションのオフィシャルカタログにも正直に記されていた「require recommissioning prior to driving(運転前に再点検が必要)」という文言のとおり、長らく静態保存されていたクルマ、ましてフェラーリをちゃんと走らせるには一定の手間と費用が不可欠であることは承知のうえで、このけっこうなハンマープライスが叩き出されたのは、内外装ともにオリジナルカラーでマッチングナンバーの「モノスペッキオ」であることがそれだけの評価につながる、ひとつの証と認めざるを得ないのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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