あらゆる道を走破するJLR車に車載コネクティビティを強化
ジャガー・ランドローバー(以下JLR)は、インドに本社を置く「タタ・コミュニケーションズ」のMOVEプラットフォームにより、次世代の車載コネクティビティを強化すると発表しました。これは120カ国において最遠隔地からでもリアルタイムでの車両位置情報サービス、よりスマートな運転体験、ソフトウェア・オーバー・ザ・エア(SOTA)を可能にし、顧客がつねに接続された最新の状態を維持できるサービスです。JLRの今後のコネクティビティ戦略について見ていきます。
EMAを採用した中型SUVモデルが登場予定
JLRはインドの通信会社「タタ・コミュニケーションズ」と提携し、JLRの次世代ソフトウェア搭載車両において、120カ国にわたる最も遠隔地でも継続的な接続性とインテリジェントなサービスへのアクセスを可能にし、顧客の運転体験を向上するサービスを提供すると発表した。
今後発売される中型SUVはエレクトリック・モジュラー・アーキテクチャ(EMA)を搭載し、タタ・コミュニケーションズのMOVEプラットフォームを活用することで、モバイルネットワークと通信事業者間をシームレスに切り替えることができ、メディアストリーミングなどのパーソナライズされたコネクテッドサービスにノンストップでアクセスできるようになる。このプラットフォームは、より大容量で安全なデータ交換を可能にし、より効率的なOTA(オーバー・ザ・エア)アップデートを実現。進化する先進運転支援システム(ADAS)の展開をサポートする。
MOVEプラットフォームの導入で得られる4つのメリット
JLRのネットワーク接続車両は毎日2.5TBのデータを生成しており、過去12カ月間では平均して毎月50万個の電子制御ユニット(ECU)が更新されている。タタ・コミュニケーションズのMOVEプラットフォームを利用することで、このデータ交換量がさらに増加し、JLRのエンジニアはより深い洞察を得る。車両のパフォーマンスをリアルタイムで監視し、車両のメンテナンスとサービスを改善するためのより迅速なアップデートを可能にすることで、顧客とJLRのコスト削減を実現できる。
タタ・コミュニケーションズのMOVEプラットフォームの導入により、顧客は以下のようなメリットを得られる。
1. 最も過酷な環境下でも車両を追跡できる、耐障害性の高いワイヤレス通信技術
2. 車両診断とアップデートの改善を目的とした、無線による車両ソフトウェアの更新の増加と頻度アップ
3. カスタマイズされた接続により、世界のどこにいても好みのアプリケーションや車両機能に接続可能
4. 単一のプロバイダーを通じてアクセス可能な、シンプルで手間のかからない接続プラン
JLRは2020年のランドローバー「ディフェンダー」発売時に、接続性を強化するデュアルeSIM接続を導入した初のラグジュアリーカーメーカーとなった。またJLRは、低軌道衛星を同社のより広範なコネクテッドカーモデルに活用することも現在検討している。
AMWノミカタ
OTA通信の大きな問題は、国ごとに個別のモバイルネットワーク事業者と契約する必要があり、その通信環境が必ずしも安定的でないという点である。このMOVEプラットフォームの最大の特徴は、複数の通信プロバイダーをコントロール、モニタリングして、単一のインターフェースによって管理することによって、通信品質やコストを最適化できる点にある。
MOVEプラットフォームがその時に最適な通信環境をモニターして選択することで、OTAの時間とコストが節約できるとともに、安定したデータ通信をいかなる場所でも実現できる仕組みである。ランドローバーのような世界中のあらゆる道を走るようなクルマには、このようなバックアップ体制を備える通信設備が必要なことは十分理解ができる。この画期的なMOVEプラットフォームがJLRの枠を越えて各社に展開されてゆくのか、また各社がOTAのサービス向上のための新たな通信手段を編み出してゆくのか、今後の展開は興味深い。