ハイパーカーのサラブレッドとしてサーキットに登場
アストンマーティンは2025年2月5日、FIA世界耐久選手権(WEC)とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)に参戦する「ヴァルキリー」を公開しました。すでにグローバル・テストプログラムを経て、1万5000km以上を走破したアストンマーティンHeart of Racingチームは、再びル・マン24時間レースに挑みます。
WEC開幕戦でデビューを飾る
2025年2月28日に開催される2025年WEC開幕戦「カタール1812Km」に、アストンマーティンHeart of Racingチームが2台の「ヴァルキリー」を投入し、世界大会デビューを飾る。
アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズとHeart of Racingによって共同開発されたこの新型車は、世界耐久レースのハイパーカーのトップディビジョンで唯一、既存の市販車をベースに製造されたレースカーである。
レース用に最適化されたカーボンファイバー製シャシーには、6.5L自然吸気V12エンジンの改良型リーンバーンバージョンが搭載される。このパワーユニットは、ハイパーカークラスの性能に適合するように強化、改良され、トップレベルの耐久レースの厳しさに耐えるように開発されている。
規制内の出力制限が下がったことで燃費が向上
信頼性と耐久性の面では、ハイパーカーのレギュレーションでパワーリミットが500kW(680bhp)であることなどを考慮すると、V12エンジンに優位性がある。それは当初からロードカーとして過酷な負荷に耐える頑丈さを備えているためであり、レース用としては、燃費がとくに開発時の重要ポイントだった。
高燃費の少ない搭載燃料で必要なエネルギー量を得ることが重要で、必要なパワーが少ないため、エンジンのパフォーマンスよりも低回転でエンジンを動かすことが可能となった。そして規制内の出力制限が下がったことで、トルク曲線を見直し、エンジン回転数を下げて摩擦損失を減らし、燃費を向上させる機会が生まれた。
空力に関しては、ヴァルキリーのハイパーカーの進化は、レギュレーションの認証基準を満たすために開発されたもので、アストンマーティンのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのマレク・ライヒマン氏と、2025年3月にアストンマーティンのF1チームのマネージング・テクニカル・パートナーに就任するエイドリアン・ニューウェイ氏によって生み出された。
レーシングサスペンションは、フロントとリアにダブルウィッシュボーン、プッシュロッド式トーションバースプリング、調整可能なサイドダンパーとセンターダンパーを装備している。タイヤは、ハイパーカー規制で義務付けられている18インチのミシュラン・パイロットスポーツを履く。