日産「マーチ」の欧州での呼び名が「マイクラ」
クルマ好きならば一度は憧れたことがあるはずのオープンカー。そもそもオープンカーとは和製英語で、フランスやドイツではカブリオレ、アメリカやイギリスではコンバーチブルと呼ばれています。最近ではスポーツモデルや高級車の一部に設定されていることがほとんどですが、ある時代の日本車には大衆車でもオープンカーが存在しました。今回は、国内で1500台ほどしか販売されなかった日産「マイクラC+C」を紹介します。
K12型マーチにもオープンカーが存在していた
1600ccの排気量に限定したイベント、「九州テンロク・ミーティング」で出会った岩﨑久弥さん。会場には、AE86型のトヨタ「カローラレビン」「スプリンタートレノ」や、同時代の「カローラ」や「カリーナ」系。そして、マツダ「ロードスター」といった車両の参加が多いなかで、唯一、日産「マイクラC+C」で参加していたのが岩崎さんだった。
マイクラとは、マーチのヨーロッパ地域での名称で、初代から一貫してこの名前が使用された。1992年から2002年まで販売されていた2代目K11型マーチでは、1997年に「マーチカブリオレ」の名称で国内販売がスタート。2002年から2010年に販売された3代目K12型では「マイクラC+C」という欧州市場の名称のままで、2007年に1500台限定で販売が開始された車両だ。
生産自体がイギリスだったため、日本国内向けに仕様変更されている。現地では1400ccと1600ccがガソリン、また1500ccのディーゼルと3種類が設定されていたが、国内では1600ccのみの販売に。トランスミッションは4速ATと5速MTが用意されていた。
目立つクルマが欲しい人におすすめ
「私のクルマに対する好みは、目立つことなんです。どこにいても駐車していると人が集まってくる。ファミリーカーの隣に停めると、子どもたちが喜んでくれる。そんなクルマが好きなのです」
岩﨑さんは以前所有していたトヨタ「セラ」にもう一度乗りたいと中古車探しを始めたものの、予算が合わず断念。そこで今度は、現在も所有しているダイハツ初代「コペン」のようなオープンカーで珍しい車種を探したところ、このマイクラC+Cの存在を思い出したのだそうだ。
「MTでは予算オーバーだったのと、九州県内でいい個体に巡り合えなかったので、値段も手頃なATを選びました」
1500台販売されたため中古車もボチボチ見つけることが可能で、価格帯としても狙い目。しかし、過走行の個体も多いため、予算と理想を追求するといい出会いにはなかなか恵まれないようだ。
カスタマイズで自分らしさを演出
岩﨑さんの愛車は足まわりを中心にカスタムが施されている。サスペンションはマーチ用を流用。ホイールはPIAA、マフラーも社外のマーチ用を選び、全体的にスポーティ感を強調。外装には立体感を出すためのグラフィックを追加。インテリアはステアリングを変更し、外装同様スポーティ感を重視した。
一応4人乗りではあるが、後部座席は足元が狭いので大人の4人乗車は厳しそうだが、オープンカーに乗っているという開放感は抜群。国内では価格が安く室内も広いという軽自動車のトールワゴンと競合してしまったことで、マーチの歴史が終わってしまったが、小型車クラスで一時代を築いたこの系譜の存在感は侮れない。将来オープンカーに乗りたい夢を持つ人に、マイクラC+Cをお勧めしたい。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)