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バブル時代、日本初の公道走行イベント「六甲モンテミリア」の熱量が半端なかった! 国宝級クラシックカーとともに走った100キロの記憶【クルマ昔噺】

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

1988年から「イタリアの虫」も参加し盛り上がった

従兄弟のMG TFは彼の父親、即ち私の叔父のクルマだった。叔父はクルマ好きでクラシックカーを3台所有していた。1台がこのMG TF、そしてもう1台は、今となっては稀少な997ccの排気量を持つ「ミニ クーパー」である。そしてもう1台は、今も私の手元にあるファセルヴェガ「ファセリア」で、イギリス車の2台が従兄弟のもとに。フランス車が私のもとにやってきた。当時の叔父は次のように話していた。

「英車2台はわかりやすいいクルマだけど、ファセリアはあまり興味がなさそうだし、すぐに売っちゃいそうだからお前が持ってろ」

病に倒れ、病院のベッドでそう言われたら、それはほぼ遺言(叔父はこの後すぐに亡くなった)。なので今も売らずに持っている。従兄弟の方はと言うと、モンテミリアに出場してほどなく、ミニを含めて売却してしまったそうだから、まあ、ある意味「親の心子知らず」の典型だ。その従兄弟が、こちらはすでにモータージャーナリストの端くれだったから心強かったのかもしれない。

「一緒にモンテミリアに出ない?」

と誘ってきた。もちろんふたつ返事である。

会場までの道中にプチトラブルも!

ただ、結構な強行軍で、10月10日の受け付けはお昼に開始され、15時には車検だというのに、その日に自走で神戸まで行くという。「自走?」かなりの不安がよぎったが、もう乗り掛かった舟で同行した。出発が何時だったかは覚えていない。東名をひた走って神戸までの道のりは流石に長い。おまけにオープンモデルである。

途中少なくとも3回は、キャブレターがパーコレーションを起こしてクルマが止まった。いつ昼ご飯を食べたかも忘れたし、食べた記憶はまるでないが、東名高速の道端でSUのキャブレターを叩いたり、燃料ラインを確認したりした記憶だけが鮮明に残っている。

到着した時間も忘れたが、もうすっかり日が傾いていたことだけを覚えているから、多分車検などには間に合わなかったと記憶する。それでも翌朝早く、ポートアイランドの会場にクルマを持って行ったから、とりあえず出場は認められたのだろう。ポートアイランドでの写真が複数残っている。

本来は帰路も自走で東京まで走る予定だったが、およそ100kmの行程だったモンテミリアを走り切った後、MG TFにはさらに700km程度走る体力はないと判断して、帰路は電車で帰り、従兄弟がトランポを調達して積載で帰ったはずである。

それでもモンテミリアが凄くて面白いことが分かったので、翌1988年、そして最後の年となった1989年も、ジャーナリストとして取材で出かけた。我々が出場した1987年あたりから、いわゆる「イタリアの虫」と呼ばれた、スタンゲリーニなどに代表されるフィアット・ベースの小型レーシングカーが多く参戦するようになった。5年間の開催で事故が起きたという話は聞いていない。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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