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「品川3」シングルナンバーを掲げたキャデラック「フリートウッド 60スペシャル」の初代オーナーは松下電器産業…松下幸之助がリアシートに座った?

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TEXT: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)  PHOTO: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)

  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:全長約5.6m、ホイールベース約3.3mという巨大な4ドアハードトップボディが特徴
  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:全長約5.6m、ホイールベース約3.3mという巨大な4ドアハードトップボディが特徴
  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:本格的なレストレーションは一度も受けていないようで、塗装が一部で傷んでいたり、バンパーにサビが浮いている
  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:本格的なレストレーションは一度も受けていないようで、塗装が一部で傷んでいたり、バンパーにサビが浮いている
  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:右側にフェンダーミラーを追加で装着している
  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:助手席側の三角窓には点火時期調整のステッカーが貼られている
  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:美しい状態を保つホイール
  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:インテリアの状態も良好
  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:ヤナセが日本に輸入した個体
  • キャデラック フリートウッド 60スペシャル:ヤナセが日本に輸入した個体

異彩を放つ巨大なブラックのボディ

全長5.6メートルの堂々たるボディに、「品川3」の古いナンバープレート。1962年式のキャデラック「フリートウッド 60スペシャル」は、日本で半世紀以上の時を重ね、今もなお唯一無二の存在感を放つ1台です。このクルマに秘められた背景をオートショップ タキーズの代表に話を聞きました。

全長5.6mの浮世離れした高級車

2025年2月22日〜23日に横浜で行われたNostalgic 2daysは、相対的に国産車の数が多いものの、外国車も多数エントリーしている。会場で発見したのが、オートショップ タキーズが展示していた1962年式のキャデラック「フリートウッド 60スペシャル」の4ドアセダンだ。驚くべきは、このクルマに「品川3」という古いライセンスプレートが備わっている点である。年代的に新車登録時のナンバーではないが、1960年代中盤のものでかなり長い間そのままのナンバーであることがわかる。

オートショップ タキーズの瀧代表にお話を伺ってみると、このように語ってくれた。

「このクルマは新車当時日本に輸入されたクルマです。初代の所有者は松下電器産業となっていることから、おそらく当時会長職を退いたばかりだった松下幸之助さんか、その後継で社長となった息子の松下正治さんが乗っていたのではないでしょうか」

キャデラックは、フォード創設者のヘンリー・フォードが創業した「ヘンリー・フォード・カンパニー」をルーツに持つ。彼が社を去った後、後任のヘンリー・リーランドのもとで社名をキャデラックに変更。のちにGMに買収され、同社傘下の高級自動車ブランドとして現代まで続いている。

フリートウッドは1930年代にキャデラックのボディ架装を行っていたコーチビルダーの名称だったが、GM傘下に入ることで、高級ボディを担当する部門として存続した。その後もキャデラックの高級グレードやトリムグレードとしてこの名称が使われ、やがて独立したシリーズ名として定着していくことになる。

このフリートウッド 60スペシャルは、全長約5.6m、ホイールベース約3.3mという巨大な4ドアハードトップボディが特徴だ。当然ながら当時の日本においては、常識外れともいえるプライスの“浮世離れした”高級車だったことは間違いないだろう。

フェンダーミラーを装着したヤナセ販売の日本仕様

キャデラックの日本におけるインポーターは1910年代からヤナセが担当しており、このクルマもヤナセが日本に輸入した個体である。日本仕様の特徴としては、助手席側にフェンダーミラーを追加で装着している点が挙げられる。

また、助手席側の三角窓には点火時期調整のステッカーが貼られており、これも1960年代に施行された日本独自の排ガス対策を示すもの。つまり、当時日本で正式に登録されていたクルマである証といえる。

高温多湿の日本で63年間過ごしてきたとは思えないほどボディの状態は良好だが、これまで部分的な補修が行われた形跡がある。本格的なレストレーションは一度も受けていないようで、塗装が一部で傷んでいたり、バンパーにサビが浮いていたりする。レストレーションを施せばピカピカの状態に戻すことも可能だが、この時間の経過を感じさせる姿にも、また別の歴史や価値が宿っているのだ。

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