軽量化に徹したRSモデル
だが996型911GT3の進化は、これでは終わらなかった。1973年に誕生した「911カレラ RS 2.7」に象徴されるRS、すなわち「レン・シュポルト」のサブネームがさらに付け加えられた、「911GT3 RS」が2003年に発表されたのである。今回RMサザビーズが同社のパリオークションに、キュレーテッド・コレクションの協力を得て出品したモデルがまさにそれで、それは2003年から2005年にかけて生産されている。
リアに搭載されるエンジンのパワースペックは、381psとGT3のそれから変化はないが、吸気と排気の両ポートのデザインが変更されるなど、そのチューニングはさらに進められている。サスペンションももちろんRSのためのスペシャルで、セッティングの幅広さ、そしてそれを実現するための整備性も大いに高められている。
軽量化への取り組みは、ポリカーボネイト製のリアウインドウやカーボンファイバー製のフロントフード、リアウイングの採用などからも分かるように、こちらもストイックなまでのポルシェの取り組みが表れている。
走行距離は6万1279kmと比較的少なめ
ブルーのレーシング・サイドスクリプトが鮮やかなこの911GT3 RSは、2004年5月22日にイタリアのペルージャにあるポルシェ正規販売店、ジュストッツィを通じてファースト・オーナーに納車。その後約10年間をイタリアで過ごし、2015年キュレーテッド・コレクションに加わったモデルであるという。ストリップアウトブラックのインテリアにはシュロス製のフルハーネス・シートベルトや、レカロ製のバケットシートが装備され、そのコンディションも良好。現在までの走行距離が6万1279kmと知れば、それも十分に納得できるところだろう。
15万ユーロ~20万ユーロ(邦貨換算約2400万円~3200万円)という予想落札価格がRMサザビーズによって提示された出品車への入札は繰り返され、結果的にはそのボトム近くとなる16万1000ユーロ(邦貨換算約2580万円)での落札という結果になった。その後となる次世代の997型911を始め、現行モデルに至るまで脈々と続く911GT3 RSの系譜。その原点にあるともいえる996型の911GT3 RSの価値は、これからますます注目されていくに違いない。






































































