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BMW「2002ターボ」が約2030万円で落札!愛好家に大切にされていた1台でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

イタリアで半世紀を過ごして、北米に上陸した個体

RMサザビーズ「MIAMI 2025」オークションに出品されたBMW 2002ターボ。シャシーNo.「4291234」。オークション出品に際して添付された資料によると、新車時代にはイタリア市場に向けて販売されたこと。当初から現在と同じ「シャモニー・ホワイト」がボディカラーで、トリコロールのBMWモータースポーツ・ストライプが施されていたことも判明している。

1974年9月16日にミュンヘンのBMW本社工場からラインオフし、その後イタリア・ロンバルディア州パラッツォーロのBMW正規インポーターに新車として引き渡された。

このクルマの歴史は、イタリア・アルプスに近いトレンティーノ=アルト・アディジェ州ボルツァーノに住む人物が最初に所有したところから、詳細に記録されている。そのあとは、2人のBMW愛好家のオーナーが1978年11月から1982年4月にかけて所有し、まるでイタリアの絵画のごとく美しい南チロル地方の小村、トレンティーノ=アルト・アディジェ州ヴォラーノ在住のパオロ・ザンベッリなる人物に引き取られた。

ザンベッリのもとで、シャシーNo.4291234は「TN262787」としてナンバー登録。また、彼の保有期間の初期にあたる時期には、イタリアの高級自動車誌「Auto Capital」の1986年2月号に掲載された特集記事のために、このクルマを貸与している。

ザンベッリ氏はシャシーNo.4291234を、じつに40年以上にわたり保有したが、2014年末にようやく手放すことを決意した。そして、今回のオークション出品者でもある現オーナーの卓越したBMWコレクションにくわえるため、オランダのディーラーがすぐに見つけ出し、2015年初めに彼に引き渡された。

現オーナーは各部のレストレーションを行なった

現オーナーが入手したとき、このクルマの走行距離はわずか6万kmほどだったものの、機関部や内外装には年式相応の年季が入っていた。そのため、現オーナーはこの2002ターボを公道でも思う存分に走行可能な状態へと戻すため、メカニカルパートおよびボディ/インテリアのレストレーションを徹底的に行うこととする。

彼が所有している間、この2002ターボには8万5000ドル以上に相当する整備が施され、ディファレンシャルに排気マニフォールド、インジェクター、燃料ポンプ、ウォーターポンプ、「ペトロニックス(Petronix)」イグニッションのアップグレードが行われた。

くわえてエンジン(ベアリング、ピストン、バルブも新品に換装)やトランスミッション、セルモーター、KKKターボチャージャーも完全にリビルド。サスペンションやクラッチ、ブレーキシステムもOEM部品を使用してオーバーホールされた。また、これまで事故歴はないようだが、ロワーロッカーパネルが錆びていたため、2021年には板金作業と各ウインドウをすべて外しての再塗装を受けることになる。

カタログ作成時点での走行距離は6万2834 km。イタリア時代の登録履歴、純正ツールキット一式を装備するほか、現在の純正スチールホイールにくわえて「カンパニョーロ(Campagnolo)」社製のアロイホイール、レストア時のインボイス(請求書)なども付属するとのことであった。

RMサザビーズ北米本社の公式カタログでは

「高度にレストアされた、この特別な2002ターボは、サーキットや地元のカーミーティング、あるいはコンクールイベントなど、いかなる舞台においても際立つことだろう」

と誇らしげに謳われるとともに、現オーナーと協議した結果として15万ドル~20万ドル(邦貨換算約2250万円〜3000万円)というエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。

ところが肝心の競売では、売り手側が思っていたほどにはビッド(入札)が進まなかったようで、終わってみればエスティメート下限に一歩届かない14万ドル。現在のレートで日本円に換算すれば約2030万円で落札されるに至ったのだ。

とはいえ今回のオークションについては、エスティメートの段階から少々オプティミスティックに過ぎた感がある……、というのも正直な感想。結果として、現在の国際マーケットにおける2002ターボの相場価格に近い結果となったと見るのが、順当な評価ともいえるだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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