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ベルトーネデザインのアルファ ロメオ「モントリオール」が約710万円で落札!現オーナーは46年前に購入

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

要調整のモントリオールは、なかなかの難敵だから……

このほどボナムズ「GOODWOOD Members Meeting 2025」オークションに出品されたのは、英国にデリバリーされたモントリオールの数少ない1台。ただし、このモデルでは右ハンドル車の生産は行われなかったので、英国仕様であっても左ハンドルである。

新車時のボディカラーは「ヴェルデ・ベルトーネ(Verde Bertone:ベルトーネ・グリーン)」に「ネロ(ブラック)」の内装を組み合わせ。1972年に英国に到着し、1973年5月に新車販売されたことがわかっている。また、現在も取りつけられている[WAM 16]は、オリジナルの登録番号と思われる。

今回のオークション出品者でもある現オーナーは、1979年11月9日にこの個体を入手。じつに46年間も所有。1980年代初頭に「アイヴァン・カッセル・カレージ(Ivan Kessell Garages)」によってレストアされた。
このとき、錆で腐食していたロワーパネルとインナーシルが交換されるとともに、シャシーは「ワクソイル(WAXOYL)」加工で錆止めアンダーコート。ボディはモントリオールの純正色「AR602メタリックオレンジ」に再塗装された。

特筆すべきは、現オーナーによって長年保有されているクルマであることから、整備記録を残したヒストリーファイルも、その所有期間中ずっと維持されてきていることである。直近の請求書では「アルファホリック(Alfaholics)」社のステンレススチール製エキゾースト(2015年)、新しいタイヤ(2015年)、修正されたステアリングボックスと新しいトラックロッドエンド(2015年)、新しいブレーキパッド、キャリパー、マスターシリンダーとスリーブシリンダー(2013年)、およびそのほかのメンテナンス作業(2015年)の工賃なども、ファイルに綴じられている。

モントリオールとしては少々低めの推定落札価格を設定

また、整備記録簿にくわえて「アルファ ロメオ・アーカイブ」との製造年月日の確認書簡、古いMoT証明書、「アルファ ロメオ・オーナーズ・クラブ(A.R.O.C)」との間に交わした書簡、「ブラウプンクト(Blaupunkt)」社製ステレオの説明書、オリジナルのアルファ ロメオ純正取扱説明書。当時のディーラーリスト、ワークショップマニュアル、V5C登録証明書、そしてこのクルマについて記された文献なども、すべてオークションでの落札者に託されることになっていた。

ボナムズ・オークション社では、その公式オークションカタログ内で

「一定期間使用されていなかったため、道路に戻す前に通常の安全点検と整備を行うことをお勧めします」

と正直に申告するともに、その整備状況を鑑みてだろうか、3万5000ポンド~4万5000ポンド(邦貨換算約658万円〜846万円)という、現在でのモントリオールとしては少々低めのエスティメート(推定落札価格)を設定。そして4月14日に行われた競売では、3万6800英ポンド。すなわち日本円に換算すると、約710万円で落札されることになったのだ。

近年の国際クラシックカー・マーケットにおけるアルファ ロメオ モントリオールの相場価格は、日本円にして1000万円以上が当たり前のようになり、高価な個体では1500万円オーバーも充分にあり得ている。

翻って今回のオークションの個体は、長年ひとりのオーナーが所有しつつも、近年では休眠状態にあった。それゆえ、とくに「難敵」と噂されるスピカ製インジェクションなど、これから調整・メンテナンスすべき事項が多いであろうことは容易に想像がつく。それらの点を考慮すれば、今回のハンマープライスはとても理に適ったものといえるだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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