あるエンスージアストの情熱から生まれた“トリビュート”
グループB時代の終幕後、オリジナルのフォードRS200は国内およびローカルレベルのラリークロス競技に活躍の場を移した。同じくグループBで成功をつかみ損ねた「MGメトロ6R4」と同じく、比較的コストパフォーマンスが高く、修理が容易であることから人気を博した。その結果、多くのロードゴーイングRS200が競技の酷使されて失われたか、あるいは修復が困難なコンディションに陥ってしまっている。
その一方で、走行距離の少ないロードバージョンがマーケットで発見されることも稀にある。それらは逆に博物館級のコレクターズアイテムと化してしまい、思いっきり走らせるには適さないクルマとなってしまった。
そこで、このほどアイコニックオークショネア「SUPERCAR FEST 2025」に出品された、名づけて「RS200トリビュート」の売り主である現オーナーは、あるプロジェクトを実現に移すことにした。
高品質なRS200レプリカの生産を専門とする、さるスペシャルショップが破綻しそうになっていたのを契機に、ベースとなる車両キットやそのほかのコンポーネンツを一括購入。その後は6年の歳月と15万ポンド以上の投資を行い、蓄積された知識とオリジナルの純正パーツ、スペシャリストの人脈を活用した。さらに最高のエンジニアたちに依頼して、間違いなく「究極のロードゴーイングRS200」を作り上げようと決意したのだ。
オリジナルないしは当時モノのパーツが贅沢に装着され、純正ツールキットも装備されたこの「RS200トリビュート」には、多くの魅力が詰まっている。シャシーデザインはオリジナルをベースとし、フロントおよびリヤセクションとも構造は同じだが、室内スペースは若干ながら拡張されている。
エンジンは2L「ZETEC」を搭載
サスペンションはフルアジャスタブルで、ツインショックとスプリングつき。「AP Racing」社製ブレーキキャリパー、フローティングベントつきの直径330mmレースブレーキで武装し、ラリー仕様の「RS200エヴォ」に取り付けられていたものに似た、スプリットリム式17インチアロイホイールが組み合わされる。
また、ボディパネルの多くは純正で、リアカウルはガス封入ストラットで正しい方向に開く。またオリジナルのラジエータダクトやインナー・ホイールアーチを流用するほか、オリジナルと同じ 5スロットのスモーク入りリアスクリーンも取りつけられる。
エンジンは、オリジナルの「コスワースBDT」用のカムカバーが取り付けられているが、その下にはもっと新しいフォードの2L「ZETEC」が隠されている。ドライサンプ化や専用クランクシャフトに専用ピストン、そして「ギャレット(Garret)G30-660」ターボチャージャーを組み合わせて、オリジナルRS200ロードバージョンの2倍以上、あるいはWRCマシンであるRS200エヴォ最終型+100ps以上に相当する550psオーバーの最高出力を発生するとのこと。
新品同様にリビルトされたアウディ製5速ギアボックス、 標準のフォード「シエラ・コスワース」用108mm径のドライブシャフトを使用し、「TTV」のビレットフライホイールおよびツインプレート式レースクラッチと組み合わせている。

























































































