エンジンは430psに高められた4L フラット6
完成した993スピードスターのレストモッド・モデル(ガンサー ヴェルクスではそれをリマスターと呼ぶ)は、すべてカスタマーの厳密な希望に合わせてオーダーメイド。「ブエノスアイレス」とネーミングされたこのモデルには、クラシックなバスタブのデザインを採用。さらにカーボンファイバーを多用することで、軽量化と剛性の向上を図っている。
特注の一体式ロールケージもボディ剛性を高めるには大きな効果を発揮。スタンダードな993型911の約2倍まで高められ、なおかつそのスタイルもじつにアグレッシブで堂々としたものだ。オプションにはダークブロンズのセンターロックホイールのほかに、ブラックエディション・ヘッドライトとLEDテールライトがエクステリアには備わる。
サスペンションもガンサー ヴェルクスの手によって大幅に改良されている。レース用に設定されたジオメトリーと特注のサスペンションアーム、フルアップグレードのブッシュや特注のブレース、さらにはガンサー ヴェルクス仕様にチューニングされたアジャスタブル・コイルオーバーサスペンションも忘れてはならない。フロントには車高調整機構も備わる。
注目のエンジンは430psにまで最高出力が高められた4Lの水平対向6気筒。有名なスペシャリストでありガンサー ヴェルクスとも提携関係にあるロススポーツ・レーシングによって製作された。ビレットシリンダーバレル、ビレットクランクシャフト、マーレー製のピストン、鍛造コンロッド、コイルオンプラグイグニッション、GT3仕様インテークプレナム、特注エキゾーストヘッダー、そしてガンサー ヴェルクスによるMoTecエンジン・マネージメント・システムが組み合わされている。トランスミッションはロススポーツ製の6速MTで、LSDが装備される。
オークション主催者のボナムズは、スピードスター以外のモデルも含め、生産台数をわずか25台に限定する同社のリマスターモデルの希少性を高く評価し、120万ドル~140万ドル(邦貨換算約1億7165万円~2億2800万円)の予想落札価格を掲げた。しかし、残念ながら売買は成立しなかった。


















































































