ランボルギーニチューンの8L・V10 OHVの圧倒的パワー
デビューから約30年が経過した初代バイパーGTSだが、その迫力あるボディデザインは今もなお刺激的で、シェルビー・デイトナ・クーペの面影を巧みに再現している。クーペスタイルとなったことで、オープンのRT/10と比べて実用性も向上した点も魅力だ。
長大なボンネットの下に収まるのは、8LのV型10気筒OHVエンジン。これは本来、ダッジ・ラムのライトトラック向けに開発されたユニットをベースとしており、それを当時クライスラー傘下にあったランボルギーニが独自にチューニング。ブロックのアルミ化をはじめとした大幅な改良が施されている。
最高出力456ps、最大トルク664Nmを誇るエンジンに組み合わされるのは、6速MTのみ。前後にはダブルウイッシュボーン式サスペンションが採用されており、コーナリング性能の高さもこのモデルの魅力であった。見た目だけでなく、走りも本格派のスポーツカーである。
その実力は、0-96km/h加速4.0秒、最高速度は288km/hに迫るというパフォーマンスデータが裏づけている。
未落札の理由はリコールか、それとも価格か
今回出品された個体は、オプション設定であった「バイパー・ブルー」のボディカラーにブラックのインテリアトリムを組み合わせ、さらにポリッシュ仕上げの17インチ5スポークホイールや、プレミアムサウンドシステム、エアコン、フォグランプ、LSDなど、当時の装備が充実した仕様となっていた。
RMサザビーズが公表した予想落札価格は9万ドル〜11万ドル(約1330万〜1625万円)。走行距離と状態を考えれば、納得の水準だったはずだ。
しかし結果として、落札者は現れなかった。オークション前、RMサザビーズは
「CARFAXレポートによると未解決のリコールがある」
と注記していたが、これが影響した可能性もある。
再び市場に現れる日は来るのか
走行距離も極めて少なく、コンディションも理想的であった1997年式バイパーGTS。それでも買い手がつかなかったという事実は、スポーツカー市場の難しさを物語っているようでもある。
だが、コレクターズアイテムとしての価値が高い初代バイパーGTSは、今後も熱い注目を集め続けるだろう。再びオークション市場に姿を現す日が楽しみでならない。












































































