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中古フェラーリと同価格帯!まさかの1590万円で落札された「250TR」ジュニアカーの評価

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams|Cars

ジュニアカーのスペシャリストが製造したオフィシャルライセンス品

「THE BONMONT SALE 2025」オークションに出品された小さなフェラーリ「250テスタロッサ」は、現代の「ブガッティ・オトモビル(Bugatti Automobiles SAS)」社との正式コラボ事業として「ブガッティ ベベII」を製作したことでも知られるジュニアカーのスペシャリスト「ザ・リトル・カー・カンパニー(The Little Car Company)」が、2022年にフェラーリからオフィシャルのライセンスを受けてハンドメイド製造。オリジナルサイズの3/4スケールで、5.4kWの電動モーターを搭載して、大人のドライバーを乗せても走行可能とされている。また、最大299台が限定生産されるうちのシリアルナンバー「061」で、現時点では新品未使用とのことであった。

このフェラーリ250テスタロッサのジュニアカーに、ボナムズ社は8万5000~12万5000スイスフラン(邦貨換算約1564万円〜2300万円)という驚くべきエスティメート(推定落札価格)を設定。そのうえで「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」での出品となった。

この「リザーヴなし」という競売形態は、価格の多寡を問わず落札できることから、とくに対面型オークションでは会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が跳ね上がる傾向もある。その反面、たとえ価格が売り手側の希望に到達しなくても、強制的に落札されてしまうリスクも内包している。

バイヤーの審美眼が年々シビアになっている

今回の「THE BONMONT SALE」においてはリザーヴなしの効用が存分に発揮されたようで、終わってみればエスティメートが予想したとおりの8万6250スイスフラン、つまり日本円に換算すれば約1590万円で落札されることになったのだ。このハンマープライスは、たとえば日本のユーズドカー市場におけるフェラーリでいうなら「カリフォルニアT」あたりの中古車を入手することも可能な金額である。

「チルドレンズ・カー」あるいは「ジュニアカー」を蒐集するコレクターは、欧米には数多く存在するばかりか、専門のミュージアムもいつくか設立されている。国際オークションでは重要なアイテムとして取引されていることは、これまでにもお話してきたとおりながら、それだけにバイヤー側の審美眼も年々シビアなものとなっている。

そんな状況下にあって、このザ・リトル・カー・カンパニー社製テスタロッサ・ジュニアは、エクステリア/インテリアともに素晴らしいできばえで、写真を一瞥しただけではオリジナルの250テスタロッサと見間違えてしまいそうなほど。

またワイヤホイールは、たとえ高級なジュニアカーであってもスポークの粗い、自転車のようなものに甘んじている事例が多いなか、このテスタロッサはちゃんと純正の「ボラーニ」に見える、アルミリムのホイールを履いており、前輪にはホンモノと同様ディスクブレーキも覗いているなど、ディテールに至るまでしっかりと再現されている。

フェラーリ250テスタロッサという、時代を超えた大人気モデルであること。フェラーリの公式プロダクトであることにくわえて、この徹底した作り込みと仕上げの美しさがもたらす圧倒的なクオリティ感が今回の高評価にも多大な影響を及ぼしたとみても、間違いはあるまい。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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