クラシック・フェラーリ市場の高騰ぶりを再確認させられたオークション
フェラーリのV12ミッドシップモデルとしてテスタロッサ世代の最終進化形に位置づけられる「F512M」が、RMサザビーズ・モントレー・オークションに出品されました。固定式ヘッドランプや丸型テールランプを備える独自のスタイルに加え、わずか501台しか生産されなかったという希少性も誇ります。落札価格と同車について振り返ります。
BBシリーズの後継モデルとして進化したF512
1971年に発表された「365GT4BB」で、180度のバンク角を持つ4390ccのV型12気筒DOHCエンジンをミッドに搭載するという新たな基本設計を確立したフェラーリ。BBシリーズはその後、1976年に排気量を4942ccへと拡大した「512BB」に、そして1981年になると燃料供給を従来の機械式キャブレターから電子燃料噴射に変更した「512BBi」へと進化を遂げ、最終的には1984年まで生産が続けられた。
BBシリーズの後継車として、1984年のパリ・サロンでワールド・プレミアを飾ったのが、現在でもフェラーリスタの間で高い人気を誇る「テスタロッサ」だった。ボディサイドを美しく流れるフィンや、ラジエータをサイド・マウントするためにワイドでダイナミックな造形となったリアフェンダーを特徴とするテスタロッサのボディは、ピニンファリーナによってデザインされた。それは感動的ともいえる美しさだけでなく、当時としては世界最高水準のエアロダイナミクスを実現したことでも大きな話題を呼んだ。
ミッドに搭載されるエンジンは、512BBiのそれと同様に4942ccの180度V型12気筒DOHCだが、吸排気の効率を高めるためにヘッドを4バルブ化するなど、さらにチューニングが進められた。最高出力はキャタライザーが装備されないヨーロッパ仕様で390psと、512BBi比でじつに50ps増に相当する数字を達成した。
しかし、テスタロッサにさらなる性能向上の可能性を見出していたフェラーリは、1992年にそのビッグマイナーチェンジ版となる425psの「512TR」を発表。さらに1994年になるとV型12気筒エンジンの燃焼室形状を見直すとともに、アルミニウム製のピストンやチタン製のコネクティングロッドなどを採用することで最高出力を440psにまで高めた、テスタロッサ世代の最終進化形「F512M」を生み出すことになる。
そのF512Mが、先日開催されたRMサザビーズのモントレー・オークションに出品された。固定式のヘッドランプや丸型4灯式のテールランプなど、それまでのテスタロッサや512TRとは異なる独特なアピアランスで見る者の目を楽しませてくれるF512Mは、フェラーリの「シリーズモデル」としてはV型12気筒エンジンをミッドシップする最後のモデルだ。
そのため、これまでもクラシック・フェラーリを求めるエンスージアストから熱い視線が注がれる存在だったが、はたして現在その価値はどれほどまでに高まっているのだろうか。ちなみに、1994年から1996年までの期間に生産されたF512Mはわずか501台。今回出品されたモデルは1995年式のアメリカ仕様である。


















































































































































































































