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フェラーリ「デイトナスパイダー」が破格の約478万円!中身は150ccのエンジンを搭載したジュニアカーだった

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

ジュニアカーのデキよりもデイトナという車種がハマったのか?

今回のオークション出品車は、フェラーリ純正色のジャッロ・モデナ(Giallo Modena)を彷彿とさせるイエローのボディカラーで設えられた。ホンモノのデイトナ スパイダー用オプションホイールを模した、センターロックのワイヤーホイールを装備している。

キャビンは赤みを帯びたダークブラウンのレザー張りで、ステアリングホイールは本物のデイトナに採用されたMOMOプロトティーポを思わせる革巻きである。ドライバーの前にはイグニッションキーやウインカー、ホーンボタンなどが配され、いずれも機能する。

また、ボンネットとトランクのリリースレバーも設けられているほか、ペダルは調整可能で、子どものドライバーにも大人のドライバーにも適したドライビングポジションに設置できる仕様であった。

今回のオークション出品に際して、RMサザビーズ北米本社の営業部門は、これまでのハリントン作品の落札実績からすればリーズナブルにも思える、2万ドルから3万ドル(邦貨換算約296万円〜444万円)というエスティメートを設定した。そのうえで現オーナーとの協議の結果、「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」での出品となった。

この「リザーヴなし」という競売形態は、価格の多寡を問わず落札されるため、とくに対面型オークションでは会場の雰囲気が盛り上がり、入札価格が跳ね上がる傾向がある。しかしその反面、たとえ価格が出品者側の希望に到達しなかったとしても、強制的に落札されてしまうという不可避的なリスクも同時に内包する。

そして迎えた8月15日のオークション当日。モントレー市内の大型コンベンションセンター、および隣接するホテルにも会場を広げて挙行された対面型競売では入札が順調に伸びた。結果、エスティメート上限を超える3万2400ドル(現在の為替レートで日本円に換算すれば約478万円)という高価格で競売人のハンマーが鳴らされた。

あくまで筆者の個人的印象だが、グループ・ハリントンが製作した一連のジュニアカーのなかで、このデイトナはとくにウインドスクリーンあたりの造形が武骨で、ありていに言えばやや不格好に見えなくもない。

さらに、今回の「モントレー・カーウィーク」におけるオークション群での落札実績を見比べると、ジュニアカーのビジネスはやや低調気味にも映る。しかし、TVドラマ版「マイアミバイス」や映画「激走5000km」で雄姿を披露したデイトナ・スパイダーがもっとも愛されているアメリカでのオークションでは、やはり実車の人気がジュニアカーの人気にも反映しているのかもしれない。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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