アメリカのモータースポーツ好きなら必見の自動車博物館
北米の博物館巡りシリーズ第7弾は、ネブラスカ州リンカーンのアメリカン・スピード博物館(Museum of American Speed)です。かつて名門アンサー一家の活躍を伝えた「アンサー・レーシング博物館」の貴重な収蔵品が移され、往年のINDYカーや歴史的レーシングエンジンがずらりと並びます。1935年式ミラー「フォード」からアル アンサーJr.が駆ったマシンまで、アメリカン・モータースポーツの栄光を凝縮した展示は圧巻。広大な空間に息づくスピードの遺産を存分に堪能できる、必見の博物館です。
アメリカン・スピード博物館でアンサー一家の栄光に触れる
じつは、この日はもう1軒、カンザス・オートレーシング博物館(Kansas Auto Racing Museum)を訪れる予定だった。しかし、前日に訪れたブランソン自動車博物館とルート66自動車博物館の展示が充実していたこと、そしてアラ古希の筆者にはタフなスケジュールが厳しかったため、予定を変更した。翌日(8月3日)に取材予定のシェルビー・アメリカン・コレクション(Shelby American Collection)までは800kmほどの道のりがあり、クルマで7時間以上かかる。途中でモーテルに一泊するとはいえ、ふたつの博物館を取材するのとひとつに絞るのとでは、時間的なゆとりが大きく違ってくる。
そこで、カンザス・オートレーシング博物館を諦め、インターネットで調べた結果、アメリカン・スピード博物館1軒に絞ることにした。その決め手となったのは、2023年5月に閉鎖されたアンサー・レーシング博物館(Unser Racing Museum)の収蔵品が移転され、展示されていることだった。
アンサー・レーシング博物館は、ボビーとアルの兄弟、アルとアルJr.(愛称は「リトル・アル」)の親子で有名なアンサー一家の業績を称えた博物館だ。ボビーやアルの活躍は、学生時代に自動車雑誌やレース専門誌で読んだ記憶があった。1990年にフリーランスとなって最初の海外取材で訪れたCARTシリーズのロングビーチGPで勝者となったのが、アルの息子である「リトル・アル」ことアル・アンサーJr.だった。そのことから個人的な親近感が湧いたのを覚えている。そんなアンサー一家ゆかりの車両が展示されているなら、と事実上の一択となった。
当初は早朝6時にモーテルを出る予定だったが、カンザス・オートレーシング博物館を諦めたことで、スケジュールにゆとりが生まれた。ゆっくりと食事を済ませ、朝8時にモーテルを出発。350kmほどの行程を、途中でガソリン補給をしながら4時間余りで走り、12時過ぎにアメリカン・スピード博物館に到着した。




















































