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コブラとGT40の殿堂!「シェルビー・アメリカン・コレクション」を訪問

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了(HARADA Ryo)

  • 1954年 ACエース AE 01:英国のACカーズが1953年に発表したスポーツカーがACエースです。ラダータイプのチューブラーフレームに独立の横置きリーフスプリングサスを装着。自製の2L直列6気筒エンジン(100bhp)を搭載していました
  • 1962年 シェルビー コブラ 260ロードスター シェルビーズ ザ ファースト コブラ CSX2000:ACカーズとシェルビー・アメリカン、キャロル・シェルビーの思惑が一致し、ACカーズ製のシャシーにフォードのV8エンジンを搭載したAC-シェルビー・コブラは1962年に誕生しました。この個体は第1号車です
  • 1964年 フォード GT40 プロトタイプ レーシング クーペ GT/103:フォードがル・マン24時間を制覇するために製作したGT40です。シャシーNo.103の個体は、1964年のル・マンにデビューするもリタイアを喫し、以後3戦リタイアが続きましたが、翌1965年シーズンにはシェルビーの手によりデイトナ24時間で優勝を飾っています
  • 1964年 シェルビー コブラ デイトナ クーペ CSX 2299:コブラのロードスターは空気抵抗が大きいことが弱点でした。そこで空気抵抗を低減するクーペモデルとして開発されたのがデイトナ クーペです。デビュー戦となった1964年のル・マン24時間ではGTクラスで優勝し、総合4位入賞を果たしています
  • 1964年 ウィルメント デイトナ クーペ CSX 2131:コブラのハードトップ付きロードスターでル・マン24時間に参加したことのあるジョン・ウィルメントが、シェルビー製のデイトナ クーペを手に入れることができず、設計図を基に独自で作り上げたクーペモデルです
  • 1965年 フォード GT40 プロトタイプ レーシング ロードスター GT/108:やがてフォードの目論見どおり、ル・マン24時間を制することになるフォードGT40。その開発を担ったプロトタイプのロードスター版です。この個体は、4台製作されたロードスターの最初の1台で、1965年3月に完成しています
  • 1965年 フォード-シェルビー マスタング GT350 Rモデル SFM5R535:シェルビー・アメリカンがフォードと共同で製作したマスタングのハイパフォーマンスモデルがシェルビー・マスタングGT350です。なかでもRモデルはSCCAのトラックレース用に開発されたトップモデルです
  • 1966年 フォード GT40 Mk Ⅰ レーシング クーペ P/1015:フォードGT40の初代市販モデルがMk Iです。1966年から発効するスポーツカー・カテゴリーに向け、50台の生産義務を果たした「量販モデル」でもあります。エンジンは4.7LのプッシュロッドV8を搭載しています
  • 1966年 フォード GT40 MKⅡ レーシング クーペ P/1016:惨敗に終わった1965年のル・マン24時間を受け、1966年には7LのプッシュロッドV8エンジンに換装し、ノーズなどカウルワークにも大幅に手を加えたモデルが登場しました。悲願のル・マン24時間初制覇を達成しています。この個体は同年のル・マンで3位入賞を果たしました
  • 1966年 フォード GT40 Mk Ⅲ ストリート クーペ M3/1102:フォードGT40 Mk IIIは、Mk Iのロードゴーイングバージョンとして1966年の後半に7台が製作されています。テールが延長されてトランクスペースが拡大し、ドアウインドウが開閉式となるなど、ロードカーとしての特性が磨かれています
  • 1967年 フォード GT40 Mk Ⅳ レーシング クーペ J-4:フォードGT40シリーズの最終モデルがMk IVです。他に先駆けてアルミ・ハニカム製のモノコックを採用。7LのプッシュロッドV8エンジンは550bhpを発生します。この個体は1967年のセブリング12時間で、デビュー戦で優勝を飾っています
  • 1957年 ACブリストル BEX 254:ACエースの発展モデルとして1956年に登場したのがACブリストルです。その名の通りブリストル・カーズ製の2L直列6気筒エンジン(120bhp)に換装され、パフォーマンスは大きく引き上げられました
  • 1968年 フォード GT40 P/1074 ミラージュ M.10002 リビルド:フォードGT40をベースに開発されたレーシング・プロトタイプのミラージュM1 フォードは1967年にデビューし、同年のスパ・フランコルシャン1000kmで優勝しました。規則変更に則して1968年にはフォードGT40にリビルドされています

シェルビーが築いた輝かしい歴史を凝縮した館

北米自動車博物館ツアー第8弾は、シェルビー「コブラ」とフォード「GT40」の聖地「シェルビー・アメリカン・コレクション(Shelby American Collection)」です。ネブラスカ州リンカーンのアメリカン・スピード博物館から約800km、クルマで8時間のロングドライブを経て、コロラド州ボルダーにある当博物館に到着しました。館内には、初代コブラから「マスタングGT350」、そしてル・マン覇者フォードGT40のプロトタイプや最終型まで、シェルビーとフォードが築いた輝かしい歴史が凝縮されています。別館に潜むGT40群は必見で、アメリカン・モータースポーツの真髄に触れられる博物館です。

ACからマスタングまでのシェルビーコブラを展示

展示ホールに足を踏み入れると、数多くのコブラのロードスターが並んでいます。ただし、よく見てみるとコブラ289だったりコブラ427だったり。あるいはコンペティション・モデルやロードゴーイング・モデル、オープントップのロードスターにハードトップ仕様の姿も。そのハードトップもいくつかの形状があり、さらにデイトナ・クーペが2台(日本国内のレースにも出場したオリジナルと、ピート・ブロックの設計図面をもとにジョン・ウィルメントが自身のガレージで製作した世界に1台だけのウィルメント デイトナ クーペ)と、さまざまな仕様のコブラが集結しています。

そのコブラ、正確にはシェルビー コブラのベースとなったAC「ブリストル」やAC「エース」も展示されています。クルマに併設された展示パネルを読み進めていくと、主要諸元だけでなく、誕生した経緯や、コンペティションモデルでは戦歴がリストアップされています。ただ残念なことに、すべての個体に展示パネルが用意されているわけではないため、車名や年式、そして素性といったことを調べていくのは困難でしょう。もっとも、そうした作業も博物館巡りのもうひとつの楽しみではあるのですが。

シェルビーといえば、個人的にはまずシェルビー コブラのロードスターをイメージしていましたが、もちろんシェルビーが手掛けたもうひとつの代表作、シェルビー マスタングも忘れてはいけません。こちらも1965年のGT350から最新のGT500まで、新旧大小数台のシェルビー マスタングが展示されていました。

さらに、シェルビー アメリカンがレースなどで使用していたサービスカーのフォード「ファルコン」のセダン・デリバリー(いわゆるパネルバン)や、「ファルコン スプリント」や「フェアレーン サンダーボルト」などのドラッグレース仕様なども用意され、コンパクトなホールに魅力的なクルマが詰め込まれていました。

別館に展示しているフォードGT40がお宝すぎ!

展示ホール本館での取材を終え、レンタカーに乗り込もうとしていた時に、取材で顔見知りになったスタッフから

「フォードGTはもう見たのか?」

と声を掛けられ、初めて別館の存在に気づきました。気づかせてくれたスタッフに礼を言い、スペース的にはけっして広くない別館へと入っていくと、そこには10数台のフォードGT40が展示されていました。

1964年に登場したオリジナルモデルのMk Iから1966年のル・マン24時間で優勝したMk II(同型車)、ヘッドライトを4灯式にするとともにリアに設けられていたトランクの容量を拡大するなどしてMk Iをロードゴーイング仕様にコンバートしたMk III、そして最終型のMk IV(量産モデルではなく試作型最終モデルのJ4)と4種類が勢揃いしています。

また、プロトタイプのクーペモデルに加えてオープントップのロードスター、そしてミラージュからリビルドされたモデル(ミラージュのM.10002がフォードGT40 P/1074に生まれ変わっている!)まで、フォードGTのファンには見逃せない車ばかりです。改めて、別館の存在を知らせてくれたスタッフに感謝しました。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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