シェルビーが築いた輝かしい歴史を凝縮した館
北米自動車博物館ツアー第8弾は、シェルビー「コブラ」とフォード「GT40」の聖地「シェルビー・アメリカン・コレクション(Shelby American Collection)」です。ネブラスカ州リンカーンのアメリカン・スピード博物館から約800km、クルマで8時間のロングドライブを経て、コロラド州ボルダーにある当博物館に到着しました。館内には、初代コブラから「マスタングGT350」、そしてル・マン覇者フォードGT40のプロトタイプや最終型まで、シェルビーとフォードが築いた輝かしい歴史が凝縮されています。別館に潜むGT40群は必見で、アメリカン・モータースポーツの真髄に触れられる博物館です。
ACからマスタングまでのシェルビーコブラを展示
展示ホールに足を踏み入れると、数多くのコブラのロードスターが並んでいます。ただし、よく見てみるとコブラ289だったりコブラ427だったり。あるいはコンペティション・モデルやロードゴーイング・モデル、オープントップのロードスターにハードトップ仕様の姿も。そのハードトップもいくつかの形状があり、さらにデイトナ・クーペが2台(日本国内のレースにも出場したオリジナルと、ピート・ブロックの設計図面をもとにジョン・ウィルメントが自身のガレージで製作した世界に1台だけのウィルメント デイトナ クーペ)と、さまざまな仕様のコブラが集結しています。
そのコブラ、正確にはシェルビー コブラのベースとなったAC「ブリストル」やAC「エース」も展示されています。クルマに併設された展示パネルを読み進めていくと、主要諸元だけでなく、誕生した経緯や、コンペティションモデルでは戦歴がリストアップされています。ただ残念なことに、すべての個体に展示パネルが用意されているわけではないため、車名や年式、そして素性といったことを調べていくのは困難でしょう。もっとも、そうした作業も博物館巡りのもうひとつの楽しみではあるのですが。
シェルビーといえば、個人的にはまずシェルビー コブラのロードスターをイメージしていましたが、もちろんシェルビーが手掛けたもうひとつの代表作、シェルビー マスタングも忘れてはいけません。こちらも1965年のGT350から最新のGT500まで、新旧大小数台のシェルビー マスタングが展示されていました。
さらに、シェルビー アメリカンがレースなどで使用していたサービスカーのフォード「ファルコン」のセダン・デリバリー(いわゆるパネルバン)や、「ファルコン スプリント」や「フェアレーン サンダーボルト」などのドラッグレース仕様なども用意され、コンパクトなホールに魅力的なクルマが詰め込まれていました。
別館に展示しているフォードGT40がお宝すぎ!
展示ホール本館での取材を終え、レンタカーに乗り込もうとしていた時に、取材で顔見知りになったスタッフから
「フォードGTはもう見たのか?」
と声を掛けられ、初めて別館の存在に気づきました。気づかせてくれたスタッフに礼を言い、スペース的にはけっして広くない別館へと入っていくと、そこには10数台のフォードGT40が展示されていました。
1964年に登場したオリジナルモデルのMk Iから1966年のル・マン24時間で優勝したMk II(同型車)、ヘッドライトを4灯式にするとともにリアに設けられていたトランクの容量を拡大するなどしてMk Iをロードゴーイング仕様にコンバートしたMk III、そして最終型のMk IV(量産モデルではなく試作型最終モデルのJ4)と4種類が勢揃いしています。
また、プロトタイプのクーペモデルに加えてオープントップのロードスター、そしてミラージュからリビルドされたモデル(ミラージュのM.10002がフォードGT40 P/1074に生まれ変わっている!)まで、フォードGTのファンには見逃せない車ばかりです。改めて、別館の存在を知らせてくれたスタッフに感謝しました。






















































