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ホンダF1優勝マシンのエンジンが精密「1/6スケール」モデルで復活!鈴鹿PAでも展示中

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 芝 修(SHIBA Osamu)/日下エンジニアリング(KUSAKA ENG)/Honda

ホンダから3Dデータの提供を受け、再現度が格段にアップ!

製作はホンダの全面協力のもと進められた。ホンダからエンジンの3Dデータの提供を受け、さらに栃木県茂木町にある「もてぎコレクションホール」に収蔵される実機を3Dスキャニングして、細部を撮影した。膨大な情報をデータ化したうえでモデリングが行われた。

「量産用のシリコン型の原型を3Dプリンターで製作するが、その再現性も非常に高く、より精巧なモデルに仕上がった」

と佐々木氏は語る。

エンジンブロックやシリンダーヘッドなど大物部品は型成型で製造するが、周辺の補器類(ショートパーツ)は3Dプリンターで直接出力する。以前は大物部品と同様に型成型していたが、現在は3Dプリンターのほうが高精度に仕上がることから方式を切り替えている。模型分野に参入して10年分の知見やノウハウの蓄積に加え、製造設備そのものの進化も今や商品のディテールアップにはかかせないそうだ。

熟練スタッフが丹念に手作業で組み立てるのもこだわりのひとつ

また、主要素材はシリコン型に樹脂を流し込むレジンキャストだが、周辺のパーツは金属、アクリル、ゴムなどさまざまな素材を使い分け、質感を限りなく実機に近づけている。細部まで一切妥協しない姿勢が日下エンジニアリングの真骨頂であり、マニアから熱く支持される理由である。

カラーリングについてもHRC(Honda Racing Corporation)と綿密にすり合わせ、確認作業を行ったうえで決定している。パーツが揃ったら佐々木氏を始め、熟練のスタッフによって細かく調整しながら手作業で1基ずつ丹念に組み上げられる。現在のエンジンにはない機械そのものが放つメカニカルな美しさが細部まで宿り、「これが模型なのか…」と思わずため息が出るほどのでき栄えだ。

価格はRA100E型とRA168E型が7万7000円。RA272E型は11万円(額装モデルは16万5000円)で各60基の限定販売となる。生産はいずれも完全受注となる。もちろん、ホンダの公認ライセンスも取得済みだ。ホンダと日下エンジニアリングのコラボで誕生した特別なエンジンスケールモデルは、F1ファンやモータースポーツ愛好家にこそ揃えてほしい逸品だ。卓上で眺めながら、ホンダF1の栄光の歴史に思いを馳せてほしい。

ちなみに、3種類のエンジン模型は現在、モータースポーツの魅力発信スポット、新東名高速道路・鈴鹿パーキングエリア「PIT SUZUKA」地域資源PRコーナー(鈴鹿PAは高速道路の利用者以外も入場可能)にて、実際にF1で使用されたエンジンパーツとともに展示中である。スケールは6分の1ながら、実機と見間違うような精緻な作り込みと圧倒的な質感を間近で堪能できる絶好の機会となっている。展示は2025年12月9日までなので、この機会を見逃せない。

モビリティショーではウイリアムズFW11のエンジン始動が行われる

最後に、F1メキシコグランプリで催されたRA272デモランは走行中にメカニカルトラブルが発生し、一時コース上で止まってしまう場面もあった。スケジュールどおりとはいかなかったが、短時間ではあるもののホンダが技術力で世界に挑み、勝利に導いた1.5L V型12気筒自然吸気エンジンが奏でるサウンドを耳にしたメキシコのモータースポーツファンはじつに幸運だったと言える。

その代わりではないが、10月31日から東京ビッグサイトで開催される「ジャパンモビリティーショー」では、11月2日(日)15:00〜15:30にホンダによるF1のエンジン始動デモンストレーションが予定されている。登場するのはメキシコで走ったRA272ではなく、1986年にホンダを初めてF1のコンストラクターズタイトルへと導いたウイリアムズFW11だ。搭載されるRA166E型は1.5L V型6気筒ターボながら1000ps超を誇った、まさに狂気の時代を象徴するパワーユニットである。この貴重な機会、モータースポーツファンやクルマ好きなら足を運び、その歴史的サウンドを体感してほしい。

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