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「駐車場に入らず家を増築!?」英国クラシックカーを所有する夢を希少なディムラーで叶える

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

  • ディムラー ソブリン
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定年を機に憧れの英国クラシックカーを所有

新潟県糸魚川市で毎年3回開催される「フォッサマグナミュージアム・クラシックカーミーティング」は、希少なヒストリックカーが集まる人気イベントです。第20回となる今回は、富山から参加した田中和幸さんの1969年式ディムラー「ソブリン」が注目を集めました。英国王室御用達ブランドとして知られるディムラーが、ジャガー傘下時代に手がけたサルーンで、国内でも現存数の少ない貴重なモデルです。定年を機に手に入れた愛車とのカーライフを紹介します。

420は生産期間と台数が少ない希少モデル

このフォッサマグナミュージアム・クラシックカーミーティングにやってくるエントラントのなかには、長年にわたり参加し続けている常連のクルマとエントラントも少なくない。その1台が、1969年式のディムラー ソブリンである。

オーナーの田中和幸さんは、お隣の富山県から、この糸魚川のイベントにほぼ毎回のように参加している。このイベントでは毎回さまざまな賞が用意されるが、田中さんのディムラー ソブリンは、2023年のイベントでコンクール・デレガンスに輝いている。この界隈では有名な個体だ。

「昔からずっとクラシックカーに乗ってみたかったのですが、今から10年ほど前、定年退職を機に手に入れたのが、このディムラー ソブリンです」

クルマを探していた時期、田中さんはオープンスポーツもいいかと考えていた。しかし、最終的には国内のヒストリックカー専門店で出会ったディムラー ソブリンを手に入れた。1893年に創業された英国最古の自動車メーカーにして、英国王室御用達車として知られるディムラーだが、この時代の同社は経営難からすでにジャガー傘下となっていた。

このソブリンもジャガー420のバッジエンジニアリング車である。しかし、ジャガー420/ディムラー ソブリンは、この後デビューするジャガーXJシリーズとそのディムラー版に比べると、生産台数は少なく、製造期間が短く、認知度も低い。それゆえ、今となっては国内で見かける機会はほとんどない希少車といえる。

憧れの実現と引き換えに建て増しすることに

いかにも英国の上級サルーンといった重厚なデザインや、伝統のフルーテッドグリルは田中さんのお気に入りポイントだ。

「じつはこのクルマを手に入れた後で、予定していた駐車スペースに収まらないことが判明し、結局建物を建て増ししたんですよね(笑)。もともとエアコン付きでしたが、オーバーヒートが心配ですし、そもそも真夏はあまり乗らないのでエアコンは取り外しました。また、地元はよく雪が降る地域なので、11月から3月くらいは乗れないんですよ」

いまは過ごしやすい季節にショートドライブを楽しんだり、近隣の福井、新潟、長野といったイベントに参加するのが、田中さんとクルマとの主な付き合い方とのことだ。北陸に生息する希少な1969年式ディムラー ソブリン。良きシーズンにこの地域のイベントに出かければ、この魅力的な現車に出会える確率は高いだろう。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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