上質を知るコニサーたちに愛されるデイムラー ダブルシックス
日本では知る人ぞ知る存在の英国の上級サルーンがデイムラー「ダブルシックス」です。ジャガー「XJ12」の兄弟にあたるクルマで、V型12気筒エンジンを搭載した余裕のあるパフォーマンスと美しいデザイン、極上の乗り心地は、良心的な自動車趣味人たちに愛されています。オーナーにインタビューする機会を得たので、ダブルシックスとのカーライフの実態を教えてもらいました。
R-Rやベントレーだけではない、ブリティッシュ高級サルーン
スーパースポーツカーおよび過去のレースの世界では一般的なV型12気筒エンジンだが、一部の自動車メーカーが世に送り出したスポーティかつエレガントなスタイルの上級4ドアサルーンにも、V12エンジンは搭載されており、優雅なプロポーションとともにそれがストロングポイントになっていたりする。
内田栄治さん(取材時62歳)が2024年5月26日に開催された「Bless的趣味車ツーリング Vol.22」に乗ってきた1991年式のデイムラー「ダブルシックス」もV型12気筒エンジンを採用している上級4ドアサルーンのひとつだ。英国車らしい美しいシルエットと、数値では表現しきれないジェントルな走りで、ダブルシックスは今でも人々を魅了し続けている。
「デイムラー ダブルシックスは昔から憧れの高級車でした。ロールス・ロイスやベントレーは手が届かなくても、デイムラーなら年式相応に価格が下がるので購入可能でした。ここ最近は値上がり傾向ですけど……。ちなみに、昔はデイムラーとジャガーの違いが分かっていなかった(笑)ので、ジャガーだと思っていました。オートモービルアシスト・ブレスにこのクルマが入荷したので、冷やかし半分で見に行ったら気に入ってしまったというわけです」
優雅な乗り心地を楽しみつつ、じつは羊の皮をかぶった狼?
2021年5月に購入したそうで、購入時の総走行距離は5万4000km。ツーリング、イベントへの参加、ときどき普段使いという乗り方を楽しんでおり、現在はオドメーターの数字が6万5000kmまで伸びている。
「愛車のこだわりポイントは、オイスターメタリックという美しい外装色。牡蠣の貝の内側の色ですね。そして、ピニンファリーナが手を入れたシリーズIIIのボディデザインがとにかく秀逸です。インテリアの美しいウッドと、ベージュのコノリーレザーも最高。極上の乗り心地、ウルトラスムーズなV型12気筒エンジンも素晴らしいです」
デイムラー ダブルシックスのオーナーに話を聞ける機会は貴重なので、その楽しさについても話してもらった。
「やはり、エレガントな乗り心地を楽しめること。飛ばさなくても十分楽しいです。このクルマに乗っていると優雅な気持ちになり、追い越されても、お先にどうぞ、という紳士的な振る舞いになります、というか、そういうことが自然にできます。しかし、その一方で、じつはスポーティに走ってもこのクルマは素晴らしいです。後ろ足はダンパーを2本使い、なおかつインボードディスクになっており、まるでレーシングカーのような足まわり。その気になればコーナリングも楽しく、結構速く走れます。エンジンもパワーがあるので、ある意味、羊の皮を被った狼かもしれません」