クライスラーに買収された後に生産された稀少なアメリカ仕様
今回ブロードアロー・オークションズが開催したモントレー・ジェット・センター・オークションに出品したのは、1988年までに610台が生産された5000QVのうち、わずか66台のアメリカ仕様モデルだ。5000QVは、それまで正規に輸出できなかったアメリカ市場での販売も実現した。
アメリカ仕様は、大型バンパー、サイドマーカーランプ、エンジンカバーのデザインなど、外観のディテールはヨーロッパ仕様とは異なる。搭載されるV型12気筒エンジンには、ボッシュ製のKEジェトロニックが組み合わされた。最高出力は当時420psと発表された。
ランボルギーニは、5000QVの生産を行っている途中の1987年に、アメリカのクライスラーによって買収されている。これにより、5000QVにはセントラルロックや強化型エアコンの装備、ZF製のシンクロメッシュトランスミッションの採用など、商品力を高めるためのさまざまな改良が加えられることになった。
出品車は1987年9月に生産されたアップデート版5000QVだ。ネロ・テネブレのボディカラー、ネロ・レザーのインテリア、OZ製ゴールド・オルテ色のダイヤルホイール、オプションのリアウイングもすべて新車時からの仕様を保っている。
じつは、同年10月にこのクルマを購入したファーストオーナーは、37年間以上にわたって所有を続けてきた。2025年にはグリニッジ・コンクール・デレガンスのコンクール・デ・スポルト部門でクラス優勝の栄誉も獲得している。現在までの走行距離はわずかに2043マイル(約3287km)だ。
ブロード・アロー・オークションズは、この5000QVに対して80万ドル~90万ドル(邦貨換算約1億1774万円〜1億3246万円)というエスティメートを提示した。
しかし、残念ながら今回のオークションでは落札されることはなかった。オークションシーンにおけるカウンタックシリーズの人気は、ファーストモデルLP400、あるいはラストモデル「アニバーサリー」へと集まる傾向がある。今後の動向に注目したい。




































































