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何が起きた!? シトロエン「2CV6」を約700万円でオークションに出品

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

2年前にエンジン換装など30年間大切に扱われてきた個体の価値を問う

このほど、ボナムズ「Goodwood Revival Collectors’ Motor Cars and Automobilia 2025」オークションに出品されたシトロエン2CV6は、英国に輸出された右ハンドル仕様車だ。

シトロエンは1926年から1966年まで、英国バークシャー州スラウに生産工場を設けていたが、この個体は1984年にフランス、ないしはポルトガルで生産された車両と推測される。約30年間にわたって英国内の一家族に所有され、2019年に購入者である夫が逝去したのち、今回のオークション出品者である現在の女性オーナーに引き継がれた。

このクルマは、家族の地元であるサフォーク州バックルシャムの大手自動車修理会社「ニック・ドンカスター」社によって定期的に整備されていた。フラットツインのエンジンは2年前に交換された旨も申告されていたという。

このような記録からも、この2CV6は生涯を通じて大規模なメンテナンスや補修を受けてきたようで、約6年前にはシャシー交換と再塗装、それ以降も定期的なワックスオイル処理が施されてきたとのことである。

ボナムズ・オークション社はこれらの整備履歴に自信を得たのか、あるいは現オーナーが近年に行った大規模修理の経費を回収しようとしたのかは不明だが、2万5000ポンド〜3万5000ポンド(邦貨換算約507万円〜約710万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。この時代のシトロエン2CV6は概ね200万円前後、コンディションの優れた希少なスペシャルバージョンであっても300万円以内で推移していることを思えば、これは格別に高額な設定であった。

迎えた9月13日のオークション当日、マーチ卿の所有するグッドウッドの広大な荘園内の特設会場で開催された競売では、出品者側が期待したほどにはビッド(入札)が伸びなかったようだ。結果は残念ながら「No Sale(流札)」となった。現在では同じエスティメートを提示したまま、ボナムズ社の営業部門による個別販売が継続されているようである。

公式オークションカタログでは、前後に取り付けられた「LOT 2」というナンバープレートに、車両代に匹敵するプレミアム価格がつくかもしれないというPRがあった。これは、登録ナンバー記録の持越しや売買ができない日本人には理解しがたいプロモーションである。

しかも、この2CV6は明らかにノンオリジナルで、黄色と黒という好みが分かれるシート生地に張り替えられているなど、見た目の魅力もほかの個体に比べて決して高くはなさそうだ。やはり、今回設定されたエスティメートの段階からして、少々オプティミスティック(楽観的)に過ぎたように感じられた。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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