YouTubeで整備作業を放映した有名なエスパーダS2
今回出品されたのは、1969年に登場したマイナーチェンジ版の「S2(シリーズ2)」だ。「400GTE」とも呼ばれるS2は、リアエンドパネルのスリット廃止や新デザインのホイール装備が特徴としてあげられる。インテリアではメーター・ナセルの形状が変化し、フロントのV12エンジンは圧縮比を高めて350psまで強化された。
この個体を所有していたハリー・メトカーフは、イギリスの自動車専門誌「EVO」を創刊した人物だ。彼は自らのYouTubeチャンネル「Harry’s Garage」のホストも務めている。2020年から2021年にかけて、このエスパーダS2にはエンジンやサスペンションの徹底的な整備が行われたほか、パワーステアリングの装備もなされた。作業のすべては同チャンネルで詳細に記録され、結果としてファンから「世界でもっとも有名なエスパーダS2」と呼ばれるに至った。
完全なコンディションに復活を遂げたメトカーフのエスパーダS2は、2021年のロンドン・コンクール・デレガンスでのクラス優勝をはじめ、多くの受賞歴を重ねてきた。直近の2025年には、愛犬のスタンリーをリアシートに乗せ、イングランドのヨークシャー・ムーアズを横断する旅も行っている。
維持と整備に10万ポンド(約2080万円)を超える資金が投じられたこのエスパーダS2は、イギリスのファンにはとくに魅力的に映ったようだ。オークションは予想落札価格の9万~10万ポンド(邦貨換算約1872万~2080万円)のレンジを超えて続き、最終的に13万2750ポンド(邦貨換算約2761万円)で落札された。
エスパーダは、1973年登場の「S3」を含め、1978年までに1227台が生産されたのみ。この貴重なS2を手にした新たなオーナーは、きっと大きな歓びに包まれていることだろう。


























































































