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新潟・糸魚川のイベントで並んだMG「B」の1台は北海道から参加!クルマ趣味がつないだ人と人

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

  • オーナーの川口真輝さんとMG B
  • MG B:内装のヤレが少なく綺麗だ
  • MG B:前のオーナーが25年ほど前にレストアした
  • MG B:前のオーナーが25年ほど前にレストアしたという川口さんのMGBは、現在はほどよい使用感も加わって、非常に好ましい佇まいを見せている
  • MG B:エンブレムまでデザインされているのがオシャレだ
  • MG B:ワイヤースポークホイールはスピンナーで固定される
  • MG B:金属製の容器に入れられたブレーキとクラッチのマスターシリンダー
  • MG B:初期モデルのポジションライトのレンズカットは水平となっている
  • MG B:前のオーナーが25年ほど前にレストアしたという川口さんのMGBは、現在はほどよい使用感も加わって、非常に好ましい佇まいを見せている
  • MG B:淡い水色にメッキバンパーの雰囲気が抜群だ

人の輪がどんどん広がるのもクルマ趣味の醍醐味

ヒストリックカーの楽しみ方は、人それぞれです。近場のイベントに気軽に参加する人もいれば、クルマとともに旅を楽しむ人もいます。新潟・糸魚川で開かれた「第34回日本海クラシックカーレビュー」の会場で、同じ年に生産された2台のMG Bが並んで展示されました。しかもそのうち1台は、はるばる北海道からの参加。離れた土地に住んでいてもつながったオーナー同士の縁と、クラシックカーが広げる人の輪。その背景には、少し心が温かくなる物語がありました。

偶然の出会いから呼んだ2台の展示

2025年9月7日に新潟県糸魚川市で開催された日本海クラシックレビューの会場で、仲良く並んでいた2台のMG Bがあった。見ればどちらも1963年式と、生まれた年まで同じである。そのうちの赤い1台は新潟県上越市から参加の“ザッキ”さんの愛車だ。地元新潟を中心にさまざまなイベントに参加するお馴染みの1台で、以前の本WEBでご紹介したこともある。

その隣に佇むのは、今回初めてお目にかかった淡い水色のMGB。さらに近づいてナンバープレートを見ると、驚いたことに「札57」と昭和時代の地名1文字ナンバーを掲げていた。聞けば、遠路はるばる北海道からの参加だという。

「小樽から新潟まではフェリーに乗って、平和な船旅でした。前日の夕方に出港して翌日の朝に新潟港へ着き、そこからは下道を走って会場入りしました」

とお話を聞かせてくれたのは、オーナーの川口真輝さんである。

現在は中国の上海汽車グループのブランドとなっているMGだが、ご存じのとおりもともとは世界でもっともポピュラーなスポーツカーとして知られ、日本でも今なお多くの愛好家が存在するイギリス車。前任のMG Aの跡を継いで1962年に発表されたMG Bは、エンジンやボディにバリエーションを加えつつ、1980年までの長きにわたって“オープン2シータースポーツ”の牙城を守り続けたロングセラー・スポーツカーだ。

「このBに乗り始めたのは5年ほど前です。じつはこれとは別に、同じBでも1980年式のラバーバンパーをメッキ・コンバージョンしたものに2年ほど乗っていた時期もありました」

それだけを聞くと生粋の英国車党にも思えるが、川口さんは空冷VWを楽しんでいた時期もあるそうだ。

「1957年式の角テールのカルマン・ギアに乗っていました。そのときにカルマン仲間と一緒に参加したイベントで知り合った方がいて、その方が乗っていたのがこのMGBだったんです。その後ご縁があって、その方から譲っていただきました」

前のオーナーが25年ほど前にレストアしたという川口さんのMGBは、現在はほどよい使用感も加わって、非常に好ましい佇まいを見せている。引き継がれた「札57」ナンバーも貴重だ。それにしても、改めて北海道からこの糸魚川のイベントに参加したそのココロは?

「じつは地元である北海道のヒストリックカー・イベントにエントリーしたとき、やはりそのイベントにMGBで参加していた“ザッキ”さんと知り合い、たまたま2台の年式も同じということで話が弾みました。そこで“新潟の糸魚川でも面白いイベントがあるよ”と“ザッキ”さんが教えてくれて、ならば小旅行も兼ねて参加してみようと思い立ったんです」

初めて糸魚川に降り立った川口さんのMGB。年齢や立場、場所を超えても、共通の話題ですぐに打ち解け、人の輪がどんどん広がるのもクルマ趣味の素晴らしいところ。改めてそんなことを思い出させてくれた2台のMGBオーナーの、ちょっと素敵なエピソードでした。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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