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「ロータスより速い!?」英国車を極めたオーナーが製作した“走り系”ライレー「1.5」

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

  • ライレー 1.5:助手席にはハルダのツインマスター(ラリー用ツイントリップ)が取り付けられている
  • ライレー 1.5:2脚のバケットシートを装着
  • ライレー 1.5:エンジンルームにも剛性アップのための補強バーが張り巡らされる
  • ライレー 1.5:大口径のウェーバー・キャブなどでエンジンは高性能化されている
  • ライレー 1.5:シフトノブのライレー・エンブレムにはリストウォッチ用のガラスを特注加工
  • ライレー 1.5:サイドウインドウもアクリルにして軽量化
  • ライレー 1.5:自営業の傍ら『BRITISH CAR CLUB JOHN BULL』を主宰する生粋の英国車党だ
  • ライレー 1.5:Riley One Point Five (ライレー・ワン・ポイント・ファイブ)のエンブレム
  • ライレー 1.5:アルメックスホイールにヨコハマ GTスペシャルを組み合わせる
  • ライレー 1.5:トランクには安全タンクを装着する
  • ライレー 1.5:室内にはロールバーを装着
  • ライレー 1.5:助手席側のアシストグリップは、旧いミニ クーパー用の紐タイプ
  • ライレー 1.5:Riley Motorsのステッカー
  • ライレー 1.5:グリップ式ドアハンドル
  • ライレー 1.5:革のボンネットストラップを使用している
  • ライレー 1.5:牽引フックも装着される
  • ライレー 1.5:メッキを使用したエンブレム
  • ライレー 1.5:サイドパネルにはキルスイッチとFIRE SYSTEMSが備わる
  • ライレー 1.5:前後のフードはワンオフで作ったFRP製
  • 「このライレーは、ロータス エリートよりも速い」 と長尾さんは悪戯っぽく笑う
  • ライレー 1.5:前後のフードはワンオフで作ったFRP製
  • ライレー 1.5:いにしえのラリーカーを彷彿とさせるモディファイ

通好みのセンス良よくまとめられたレーシングモディファイ

兄弟車という言葉をご存じでしょうか。見た目は少し違っても、じつは中身は同じ設計のクルマという意味です。そんな手法が盛んだった1960年代のイギリスで生まれたのが、ライレー「1.5」です。上質でスポーティなサルーンとして知られ、同時期のウーズレー「1500」やMG「マグネット」と多くの部品を共有していました。今回紹介するのは、新潟県糸魚川市で開催された『第20回フォッサマグナミュージアム・クラシックカーミーティング』に参加していた、地元新潟の長尾和青さんが手塩にかけて仕上げた1964年式ライレー 1.5。ラリーやジムカーナにも出場するこのクルマには、英国車文化への深い愛情と遊び心が息づいています。

BMCがたくさんのライレー1.5の兄弟車を生み出した

身近な国産車の兄弟車といえば、トヨタ「86」とスバル「BRZ」が挙げられる。ダイハツ「ハイゼット」とスバル「サンバー」、あるいはかつての日産「セドリック」と「グロリア」も同様だ。これらは基本的に同じ設計のクルマを、ブランドや販売網によって別のクルマとする手法である。このような「兄弟車」は、古くから洋の東西を問わずさまざまなメーカーからリリースされてきた事実はよく知られている。グリルやエンブレムなどのディテールを変える程度でまったく別のクルマが「開発」できるということから、その手法はバッジエンジニアリングとも呼ばれている。

バッジエンジニアリングがとくに多く見られたのが、1960年代のイギリスである。オースチン、モーリス、ウーズレー、ライレー、MG、ヴァンデン・プラといった多くのメーカーは、もともとそれぞれが独立した自動車メーカーであった。これらのライバルはスケールメリットを求めて合流し、1952年にBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)という英国最大の民族資本系メーカーが誕生した。以来、BMCは各ブランドの個性とイメージを活かした。その上で、量産効果を狙って部品の共通化と車種統合を推し進めていった。この時代に生まれたBMC車のひとつが、ライレー1.5(ワンポイントファイブ)である。

ライレー1.5はその名のとおりライレーブランドからリリースされた、1.5Lエンジンを搭載するスポーティなサルーンである。ほぼ同じ見た目の兄弟車にはウーズレー 1500があり、さらに言えばフロアパンや足まわりはモーリス マイナー、エンジンはMG マグネットと共通という具合に、グループ内のリソースを最大限活用したモデルである。生産期間は1957年から1965年である。後任のADO16一族と比較すると、日本での知名度はやや低い。

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