5mm以下の穴なら空気が抜けない!パンクを80%予防
レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之氏が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のお題は「釘が刺さっていても走れるタイヤ」。そんな一見あり得ない安心を、プレミアムタイヤメーカーのコンチネンタルが現実にしました。
特殊なシーラント層が走行中でも穴を塞いで内圧低下を防止
2026年初頭の「東京オートサロン」で、コンチネンタルがなんとも風変わりな体験を用意している。それは「タイヤに釘を刺してもいい」という、これまでなら確実に眉をひそめられてきた行為を、堂々と体験できることだ。クルマ好きにとっては背徳感すら覚える行為だが、今回はむしろ歓迎されるというのだから時代も変わったものである。
プレミアムタイヤメーカーであるコンチネンタルが開発した新技術「ContiSeal」は、タイヤの内側に高い粘着性を持つ特殊なシーラント層を組み込んでいる。この層が、走行しているときに釘やネジなどが刺さった瞬間、即座に穴を塞いでくれるのである。
直径5mmまでの穴なら即座に対応でき、メーカーによればトレッド面で発生するパンクの約80%を防ぐことができるという。数字だけ見ても、きわめて実用的な技術だ。
ヒヤリとする場面を何気ない日常を変える
想像してみてほしい。高速道路で「コツン」という嫌な感触があっても、警告灯は点かず、クルマの挙動も変わらない。ガラス片が散らばる路肩や、尖った石が転がる工事区間を抜けても、平然と走り続けられる。従来なら肝を冷やす場面を、普段どおりの日常に変えてくれるのが「ContiSeal」なのだ。
僕もたびたびドイツに遠征するが、速度無制限のアウトバーンが張り巡らされていることもあり、1日の移動距離は日本の比ではない。数百kmを走破し、ビジネスを終えて日帰りすることも日常茶飯事だ。万が一のトラブルを回避できるのであれば、これほど心強いものはない。
ランフラットタイヤとの決定的な違いは空気を逃さないこと
ここで混同されがちなのが、ランフラットタイヤとの違いだ。ランフラットタイヤは空気が抜けること自体は防げない。その代わり、サイドウォールを極端に硬くすることで、空気圧ゼロでも一定距離を走行可能にしている。しかしその副作用として、乗り心地が硬くなり、ロードノイズも増えがちだ。重量も嵩み、パンク後は速度制限を守りながら、一刻も早く修理工場へ向かう必要がある。
一方、ContiSealはそもそも空気を逃がさない。釘が刺さった状態でも内圧が維持されるため、普段と変わらないフィーリングで走行を続けることができる。まさに「魔法のタイヤ」だ。ステアリングの感触も、乗り心地もほぼ変化なし。ドライバーが異変に気づかないケースもあるほどだという。僕もまだ実際に走行フィールを確認したわけではないが、それが事実ならば、精神的にも絶大な安心材料になる。
技術の進化を讃える「釘刺し」体験
もちろん、釘が刺さったまま永久に使い続けることは推奨されていない。後日、きちんと点検し、必要に応じて修理を行うべきだ。しかし、旅先や深夜の帰宅途中で「パンク=立ち往生」という最悪のシナリオを回避できるのは、大きな価値がある。
東京オートサロンのコンチネンタル・ブースでは、そんなContiSealの実力を自分の目で確かめることができる。これまでタブーだった「釘刺し」が、技術を讃える行為に変わる瞬間。タイヤの進化を体感しに、足を運んでみてはいかがだろうか。今回はきっと、誰にも叱られないはずだ(笑)。






































