シンガー・ヴィークル・デザインが再定義したポルシェ911に熱狂するファナティック
子供の頃からポルシェ「911」に憧れていたボブ・ディキソンが、2009年に創立したシンガー・ヴィークル・デザイン(Singer Vehicle Design)。今回RMサザビーズが2025年12月5日にUAEアブダビで開催したオークションには、1991年式のポルシェ964型を2016年に約4000時間かけてレストアした1台が出品されました。車両のあらましとオークション結果をお伝えします。
現代の最新技術で911に新しい価値を吹き込む
アメリカのカリフォルニアに本社を構える「シンガー・ヴィークル・デザイン」の名が、ポルシェ 911のファンに広く知られるようになったのはいつの頃からだろうか。実際に同社の会長であるボブ・ディキソンが、この会社を創立したのは2009年のこと。ちなみにイギリスに生まれた彼は、コベントリー大学で自動車デザインを学び、1度はあのロータスに入社するも、かねてから強く夢見ていたミュージシャンとなるために退職。1990年に見事にデビューを果たしてその夢を結実させると、2000年代にはアメリカへと渡り、さらに積極的な音楽活動を続けていく。
ディキソン氏には、子供の頃から音楽とともに、もうひとつ憧れていたものがあった。それはポルシェ911というスポーツカーであり、ミュージシャンとして成功を収めると、当然のことのように彼はポルシェ911を手に入れる。
それに前後してポルシェ911のレストアにも興味を抱くようになったディキソン氏は、自身が歴代の911シリーズのなかでも最高の素材だと考える964型911をベースに、世界トップの技術とクオリティを誇るレストア車をカスタマーに届けるために、シンガー・ヴィークル・デザインを創立したのだ。
その社名に掲げられる「シンガー」とは、ポルシェのヒストリーを語るうえでは欠かすことのできない伝説のエンジニア、ノルベルト・シンガー氏と、ディキソン氏自身がシンガー(歌手)であることに由来する。また彼らのファクトリーから生み出されるモデルは、ポルシェ「911リイマジンド バイ シンガー(Reimagined by Singer=ポルシェ911の再定義)」と呼ばれ、レストアとモディファイを掛け合わせたレストモッドとなって完成される。すべての基となるポルシェ911は、964型ポルシェ911(1989~1994年)となる、というのも964型ポルシェは、クラシックなサイズ感と現代的なサスペンション・ブレーキ構造を併せ持つ理想的なモデルとシンガー社は考えているからだ。
ポルシェ 911リイマジンド バイ シンガーの評判は、すぐにポルシェ・ファナティック(熱狂的なポルシェ愛好家)の間で大きな話題となった。実際にシンガー・ヴィークル・デザインが行うレストアは、それまでのオリジナル絶対主義ではなく、現代の最新技術によってさらに新しい価値を創出したものだ。




































































































































