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レースが磨いた至高のイタリアンバイク、MVアグスタとドゥカティは時代を超えてライダーを魅了する「走る芸術」!

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了(HARADA Ryo)  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

  • MVアグスタ 750スポーツ:美しく磨き上げられた車体が当時の空気を現代へと伝える
  • MVアグスタ 750Sアメリカ:流麗なカウリングと迫力のエンジンがファンを魅了する
  • MVアグスタ 750Sアメリカ:オートモビル カウンシルの会場でひときわ目を引く存在
  • ドゥカティ 900スーパースポーツ:名門の系譜を受け継ぐ、情熱的な走りの象徴である
  • ドゥカティ 750スーパースポーツ:レーシングスピリットを具現化した美しきイタリア車
  • 四輪だけでなく、貴重な二輪車のヘリテージモデルも集結
  • ドゥカティ パンタレーシング 600TT2:真紅のボディが熱いレースの記憶を呼び覚ます
  • ドゥカティ パンタレーシング 600TT2:軽量化された車体が戦うマシンの凄みを放つ
  • ドゥカティ 750スーパースポーツ:銀色のカウリングが輝く。時代を超えて愛される名機
  • MVアグスタ 750スポーツ:歴史的価値を持つ名機がオートモビル カウンシルに登場

独自のL型ツインとデスモドロミック! 時代を象徴するドゥカティの技術

2026年4月に開催された「オートモビル カウンシル」の会場に、MVアグスタとドゥカティという希少なイタリアン・ヘリテージバイク5台が集結しました。四輪の展示が主役の同イベントにおいて、これほど濃密な二輪の世界が展開されるのは驚きです。名機たちのディテールや歴史的背景とともに、熱を帯びるトラディショナルバイク市場の現状についてレポートします。

オートモビルカウンシルに芸術的イタリアンバイクのMVアグスタとドゥカティ登場! 伝説の名車が放つヘリテージの輝き

ヘリテージカーの国内最大級イベントとして知られる「オートモビル カウンシル」にはこれまで、四輪のいわゆる“クルマ”の展示がメインで、バイクはごく少数のブースで1〜2台が展示されているという印象が強かった。個人的には少年の頃から憧れを持ち、現在ではトラディショナルなバイクを保有するまでになった状況がある。そのため、バイクを受け入れる下地はあるのだけれど……。今回のオートモビル カウンシルでは、そんな老ライター(ライダー?)の前に5台のトラディショナルなバイクが勢揃いするシーンが展開されたのである。

5台の内訳は、2台の「MVアグスタ」と3台の「ドゥカティ」だ。個別に紹介していく。

1973年製の「MVアグスタ 750スポーツ」は、不振だった600Sの後継として1970年に登場したモデルで、750ccの並列(直列横置き)4気筒エンジンを搭載している。単に排気量をアップしただけでなく、同社のレーシングバイクからの技術が盛り込まれたバイクである。

1975年製の「MVアグスタ 750Sアメリカ」は、財政難に陥り1974年に国営管理下に置かれたMVアグスタ本社に代わり、米国の輸入業者であるコマース・オーバーシーズ・コーポレーションが開発した。750スポーツの後継として北米での販売促進を目指し、外観をMVアグスタのレーシングバイクにより近づけたことが大きな特徴だ。

ちなみに、ブランド名の「MV」とは「メカニカ・ヴェルゲーラ(Meccanica Verghera)」の略であり、イタリア・ミラノ近郊のヴェルゲーラという地名に由来している。また、前身の600Sは、ホンダの「CB750フォア」より2年前に世界で初めて並列4気筒を搭載した市販ロードバイクとして登場していた。そうした先進技術も人気を呼んだ要因だったのだろう。

独創L型ツインとデスモドロミック、ドゥカティの伝統を刻む「SS」シリーズと伝説の「パンタ600TT2」

いっぽうのドゥカティである。1974年に登場した「750スーパースポーツ」(展示された個体は1978年式)と、1975年に登場した「900スーパースポーツ」(展示は1977年式)は、ともに横置きの90度V型2気筒エンジン(排気量は748ccと864cc)を搭載していた。前バンクのシリンダーがほぼ水平で、後バンクがほぼ垂直になるようにレイアウトされている。これは低重心化させることでハンドリング性能を向上させようとしたものだ。横から見るとアルファベットの「L」に近いシルエットとなることから、「L型エンジン」と通称されていた。このレイアウトは、走行風を効率よく受けることで、空冷エンジンの冷却性能を最大限に引き出すという実利も兼ね備えていた。

ドゥカティお得意のデスモドロミック・システムが組み込まれていたが、エンジンそのものはシングルカムの2バルブである。今から振り返るとオーソドックスなメカニズムで構成されていた。デスモドロミックは、バルブをスプリングで閉じるのではなく、カムの力で「強制的に開閉」させるシステムだ。これにより、高回転域でのバルブの追従性を飛躍的に高め、エンジンの破損を防ぐというレース直系の思想が具現化されていた。

ブースのなかで唯一フルカウルを纏ったレーシングバイクは、1980年代初頭に誕生した「ドゥカティ パンタレーシング 600TT2」だ。二輪ロードレースの選手権では近年、MotoGP以外のカテゴリーが混在(混乱?)している。しかし、現代のスーパーバイク世界選手権に繋がるひとつの流れが、1980年代序盤にイタリアで開催されていたTTフォーミュラ選手権であった。ここで圧倒的な強さを見せつけていたレーシングバイクが、このパンタレーシング 600TT2なのである。

独創のイタリア車技術はレースで磨かれたMVアグスタとドゥカティ、さらに加速する2輪ヘリテージ市場の熱狂

MVアグスタとドゥカティというふたつのビッグネームについては、今さら解説するまでもない。しかし、念のためにおさらいしておこう。バイクの歴史を紐解くと、戦前からの長い歴史を持っているのがイギリスのメーカーである。BSAは、カワサキが650ccの2気筒を搭載する「W1」の原型とした「メグロ K1」に大きな影響を与えた「A7 シューティングスター」を製造していた。また、小型スポーツカーでも知られたトライアンフの「ボンネビル」は、ヤマハが「650XS1」を開発した際に大いに参考にしたモデルだ。このように、日本のメーカーにも縁が深いという経緯がある。

その一方で、イタリアのバイクメーカーは事情が異なる。今回紹介するMVアグスタにしてもドゥカティにしても、バイクメーカーとして発展したのは戦後になってからだ。国内のバイクメーカーよりもむしろ後発である。そのためにレース活動を通じて技術を開発し、ブランド・バリューを高めていくことに邁進したのは必然だったのだろう。

MVアグスタがロードレース世界選手権で王座をほしいままにしていた1950年代後半から1970年代前半、高性能バイクであるMVアグスタやドゥカティには多くの若者が憧れていた。しかし、高価でなかなか手が出ないという現実もあった。

そんな当時の若者が資金力を得た現在、昔の夢を叶えようと購入するパターンが多いとも聞く。これはクルマの世界でも同様の事情がある。ただ、よりフィジカルなバイクでは、ある程度の年齢になったら「さすがにもう楽しんで走るのは難しい」と手放すベテランライダーも少なくないようだ。つまり、四輪のヘリテージカー・マーケットに比べて、バイクのそれはより濃密に、そしてよりスピーディに動いているということだろうか。

たしかに、プライスタッグを見て「今は手が出ない」という向きも多いだろう。それでも「いつかは!」とバイク貯金を始めるファンは少なくないはずだ。この歳になると、トラディショナルなバイクが買えるようになるまでバイク貯金を続けることは無理だと個人的には判断している。だが、まだまだ先の長い、人生に余裕があるならバイク貯金はおすすめである、と言っておこう。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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