カリスマ マグナス・ウォーカーの「ポルシェ 924ターボ」は北米限定600台「パシャ」柄内装でこの価値!?
ポルシェ「アウトロー」スタイルのカリスマとして世界的に知られるマグナス・ウォーカー氏が所有した1980年式「ポルシェ 924ターボ」がRMサザビーズのオークションに登場しました。北米限定600台の導入記念モデルにして、純正「パシャ」インテリアが今なお輝く希少個体そのものです。その生い立ちと約234万円という衝撃の落札結果に迫ります。
ポルシェ界のアウトロー的存在のマグナス・ウォーカー所有の「924ターボ」がオークションに登場!
マグナス・ウォーカー氏といえば、ポルシェ界におけるワールドワイドのインフルエンサーだ。伝説的なカーカスタマイザーであり、その代名詞でもある「アウトロー(Outlaw)」スタイルを、ファッションの面でも全世界に流布したレジェンドである。

そんなウォーカー氏の個人的コレクションが、RMサザビーズ北米本社の開催による「Magnus Walker: The Outlaw Collection」オークションにて放出されることが決定した。2026年3月18日から25日にかけてオンライン限定で行われた入札に向けて、ポルシェにまつわる160点のロットが出品されたのだ。そのなかから、ポルシェ 924ターボに焦点を当てる。
トランスアクスルで理想的重量配分と初期型のみの「ドッグレッグ」シフトを採用した「924ターボ」!
1970年代、ポルシェによる過給技術の実験はモータースポーツでの成功をもたらした。1974年には「ポルシェ 911ターボ」の第一弾が誕生。それからわずか5年後、ポルシェはポルシェ史上2台目のターボ搭載市販車として、931型「ポルシェ 924ターボ」を発表した。
ボンネットを低く抑えるため40度傾斜して配置されたM31/01型エンジンは、吸気マニホールドに過給圧を供給するKKK社製「K26」型ターボを採用。欧州仕様では0.7バール・170psを実現し、同時代の「ポルシェ 911SC」に匹敵する性能を誇った。一方、本個体が属する北米仕様は排ガス規制への対応により過給圧を0.45バールに抑えた結果、出力は143psにとどまる。それでもエンジニアたちは重量増加を最小限に抑えつつ、前後重量配分を49対51という理想的なバランスへと改善したのだ。
さらに、軽量化されたゲトラグ社製「G31/01」5速ギヤボックスは、1速が左手前に独立する「ドッグレッグ」式のシフトパターンを採用している。これは、サーキットやワインディングで多用する2速と3速を一直線上に配置することで、素早いシフトチェンジを可能にするレーシング由来の設計だ。エントリーモデルでありながら、その中身にはポルシェの純然たる走りの哲学が宿っている。
LSDやエアコン、サイケデリックな「パシャ」柄など924ターボ導入記念モデルが放つ圧倒的な個性
時代を象徴するスタイリングは、機能的進化に即してアップデートされた。ノーズ先端には4つの長方形インテーク、ボンネットには航空機技術から転用された凹型の空気取り入れ口「NACAダクト」が設けられ、ターボチャージャーへの直接冷却が可能となっている。
今回出品された個体は、北米市場向けに用意されたオプションコード「M420」の最初の600台、いわゆる「米国向け931ローンチカー(931は924ターボの社内開発コード)」のうちの1台だ。最大の特徴は、今なお新車時の美しさを保つパシャ柄(Pasha pattern:1970年代後半から80年代にかけてのポルシェで採用された、非常に特徴的なチェッカーフラッグが歪んだような幾何学模様)のクロスインテリアである。このチェッカーフラッグが波打つようなサイケデリックな模様は、1970年代に流行したオプティカルアート(錯視芸術)にインスパイアされたポルシェ特有のデザインだ。現在もヴィンテージ市場で絶大な人気を誇るこの内装が、2トーンのエクステリアと相まって圧巻の光景を呈している。
工場出荷の時点でリミテッド スリップ ディファレンシャル(LSD)やエアコン、取り外し可能なルーフパネルを備えるなど、記念モデルゆえの充実したオプション装備も魅力だ。2014年にマグナス・ウォーカー氏が購入した際のドキュメントも残されており、歴史的な価値を持つ1台といえる。
FRの限定車ポルシェ924ターボは「カリスマの愛車」でもたった約234万6300円という衝撃の結末…
RMサザビーズ北米本社は「フロントエンジン・トランスアクスル車のポテンシャルを体験したい方にとって必携の1台」とPRし、316万円から395万円のエスティメートを設定した。そのうえで「リザーブなし(最低落札価格設定なし)」での出品に踏み切ったのである。
金額を問わず確実に落札されるこのスタイルは会場を盛り上げるが、希望額に届かなくとも売却されるリスクをはらむ。今回の競売では後者のリスクが発動した形となった。1週間の入札期間が終わっても価格は伸びず、1万4850ドルでハンマーが落ちたのだ。現在のレートで換算すると約234万6300円という、市場の予測を大きく下回る結果となった。
しかし、それは同時にバイヤーにとって「元マグナス・ウォーカーのポルシェ」がこの価格で手に入る、千載一遇のチャンスとなったのは間違いない。クルマの価値とオークションの相場は必ずしも一致しない。だからこそ、こうした波乱もまたコレクターズカー市場の醍醐味といえるのだろう。
911はリアエンジンでピーキーなハンドリング特性だったのに対し、911とは対照的な「非常に素直で安定したハンドリング」を実現するためにエンジンをフロントに、トランスミッションをリアアクスル側に配置するトランスアクスルとして49:51を実現。そんなクセのないハンドリング特性の924は、ポルシェファンにとっては魅力が薄く映ってしまったのだろうか。
※為替レートは1ドル=158円(2026年4月21日時点)で換算



























































































