超希少なRUF「BTR」フラットノーズは、予想をはるかに上回る高値で落札されたワケとは!?
1980年代〜90年代の「ヤングタイマークラシック」が、現在の国際クラシックカーマーケットで絶大な人気を博しています。今回は、2026年3月7日にアメリカのブロードアロー・オークションズが開催した「アメリア・アイランド」のセールに出品された、RUF「BTR」に注目します。ポルシェでお馴染みのフラットノーズ(フラッハバウ)を持つ希少な個体のヒストリーと、驚きの落札結果をご紹介いたします。
独立自動車メーカーとしてRUFが初めて世に放った傑作フラットノーズ「BTR」は世界に10台未満!?
RUFオートモービルの物語は、ポルシェ市販車の整備や改造から始まった。1970年代後半には独自の高性能モデル開発に着手している。そして1982年、RUFは当時の西ドイツ連邦政府から独立した自動車メーカーとしての正式な認可を受けた。これにより「W09」で始まる独自の車体番号(VIN)コードを付与されている。ポルシェからホワイトボディ(車体骨格)を購入し、自社工場でパーツを一から組み上げて生産しているため、車検証のメーカー欄には「ポルシェ」ではなく「ルーフ」と記載される。単なるチューナーとは一線を画すこの事実も、クルマ好きの心をくすぐるポイントだ。
「BTR(グルッペBターボRUF)」は、RUFのパッフェンハウゼン工場から「W09」のVINコードを刻印された最初のモデルだ。この3文字は現在に至るまで、RUFのクルマを独自のフルコンプリートカー(自動車メーカー)として区別する重要な記号となっている。
「BTR」は3.4リッターのターボチャージャー付き水平対向6気筒エンジンを搭載する。より効率的な「K27」ターボチャージャーに大型化された98mmボアのマーレ製ピストン、RUFインタークーラーキット、RUF製4本出しエキゾーストシステムなどのチューニングを施した。これにより、ポルシェ「911ターボ」の300psに対し374psを発生する。シート間に設置されたポルシェ「935」スタイルのノブにより、走行中のブースト圧調整が可能となっていた。
この驚異的なパワーは、RUF自社設計による5速トランスミッションを介して伝達される。また、標準装備の40%ロック式リミテッドスリップデフやヘビーデューティクラッチを採用した。RUFの表現を借りれば、エンジンを「常にブースト状態に維持する」クローズドのギヤレシオなどを、加速性能を向上させるために用いている。
さらにRUFでは、パワーの増強に合わせて「BTR」のパフォーマンス部品を全面更新した。車高を下げ、ビルシュタイン製スポーツショックを追加している。ポルシェ「917」由来のブレーキキャリパーを保持しつつブレーキディスクを大型化し、今やRUFを象徴するデザインアイコンとなったスピードライン製17インチホイールに収めた。
「BTR」の最高速度は300km/hを突破し、アメリカの自動車専門誌で「世界最速車」の称号を獲得する。そのため、ポルシェAGレーシング部門のポルシェ「935」で培われた高速空力研究が不可欠となった。そこで一部の「BTR」には、ポルシェ「935」を彷彿とさせるスラントノーズフロントエンドとポップアップヘッドライトが採用されている。RUFはこのオプションにロッカーパネルサイドスカート、ルーバー付き前後フェンダーを組み合わせた。
希少な「W09」シャシー番号を持つオリジナルの「BTR」は30台未満しか製造されていない。そのうちスラントノーズフロントエンドを装備したのは、3分の1未満と推定されている。















































































































































