几帳面な歴代オーナーたちによって記録されたヒストリーと原型を重視する丁寧な復元作業の数々
今回ブロードアロー・オークションズのセールスに出品された「W09」のRUF「BTR」は、正真正銘のコンプリートカーだ。新車時代から「ガーズレッド」のボディに黒レザー内装という、とてもクラシックな組み合わせで仕上げられている。
1987年3月にアメリカへ初輸入されたのち、RUFオートモービルに代わって排出ガス認証を受けるため、合衆国連邦環境保護庁(EPA)のミシガン州アナーバー本部へ輸送された。1987年7月にEPAから包括認証を取得したあと、1988年2月6日に初代オーナーであるフレデリック・ゾンタグに新車として納車されたことを示す原本の売買契約書が記録されている。
ゾンタグは納車前年の10月からアロイス・ルーフと文通を交わしていた。履歴ファイルには原産地証明書やRUF限定保証書類、モデル仕様書、イリノイ州との登録関連文書が含まれている。さらにもっとも興味深い1987年7月付のEPA適合証明書のスキャン画像など、重要な記録が数多く残されている。
アメリカでの登録履歴が閲覧できる「CARFAX」報告書によれば、本車両は2003年6月にオクラホマ州で登録された。そしてルイジアナ州に在住する現オーナーは、2011年6月にテキサス州ダラスの「RUFオートセンター」よりこの「BTR」を購入している。その後、直ちにメカニカル部分と内装を工場出荷時と同等の仕様に復元する作業に着手した。
この包括的なレストアは、ポルシェのスペシャリストである「イーグル・レーシング」に委託された。トランスミッションのリビルドやブレーキのオーバーホール、R134aフロンガス対応エアコンへの更新などが含まれている。
2019年には「プロトモーティブ」によるエンジンのリビルドが行われ、新品ピストンとシリンダー、コンロッドが装着された。オーナーはさらに純正仕様のRUF製ターボチャージャーと4本出しエキゾーストを調達し、同車に装着させている。
そのかたわら、インテリアではオリジナル性の保持が最優先された。ブラウプンクト「モントレーSQR23」型ラジオ、RUFブランドロゴ入りの純正カーペット、レカロ製シートは修復したうえで戻されている。
こうした徹底的な再生ののち、現オーナーによって頻繁に走行されるいっぽう、専属メカニックによる継続的なメンテナンスも受けてきた。直近ではオイル交換と新品タイヤ装着も完了している。
路上の楽しみを追求した魅力的ドライバーズカーにして希少性とコレクター価値を高める詳細に高額ビット続出!
ブロードアロー・オークションズはこの個体について、公式カタログ内で高々とアピールした。
「本車はふたつの世界を兼ね備えています。路上での楽しみを追求した魅力的なドライバーズカーとしての側面と、希少性やコレクター価値を高める詳細に記録された歴史です。真正性を重視したレストアを経て、本格的なコレクションにふさわしい1台です」
そして、32万5000〜37万5000ドル(邦貨換算約5200万〜6000万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。
ところが、3月7日に行われた競売ではあっという間に入札が伸びた。終わってみればエスティメート上限を10万ドルも上回る47万2500ドルという高価格で、競売人のハンマーが鳴らされることになったのである。現在のレートで日本円に換算すれば、約7560万円である。
RUFという自動車メーカーブランド、BTRという名に秘められた世界一の性能、そしてフラットノーズという超希少性がこのクルマの最高速度を伸ばすが如く、一気に入札額を押し上げたのかもしれない。
※為替レートは1ドル=160円(2026年4月1日時点)で換算























































































