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「ポルシェ ノースアメリカ」のモータースポーツ部門を統括したアル ホルバート製ワイドボディのポルシェ 924ターボに付いた値段はノーマル車の5倍!

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2026 Courtesy of RM Sotheby's  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

924カレラGT譲りのワイドボディに負けず、エンジンもカレラGT心臓部を宿した「アウトロー的ポルシェ」が競売へ

このほどRMサザビーズ「Magnus Walker:The Outlaw Collection」オークションに出品された、マグナス ウォーカー所有の1980年式924ターボは、FIAホモロゲーション申請のため1980年1月1日付で生産が完了したと称されるうちの一台だ。また、もとより米国での販売が予定されていたUS仕様車である。

新車としてラインオフしたときには「アルパインホワイト」のボディに、ブラックの一部レザー内装、そしてベンチレーテッドブレーキディスク、大型アンチロールバー、コニ製ショックアブソーバーを含む、非常に人気の高い「スポーツグループパッケージ(オプションコード471)」が装備されていた。

そのほかのメーカーオプションには、リミテッド スリップ ディファレンシャルやリアワイパー、電動アンテナ、4つのスピーカー、リアスポイラー、盗難防止のアラームシステムが含まれていた。

ホルバート レーシング製のワイドボディキットは、1983年にニュージャージー州チャタムにある「パテレック ブラザーズ」社によって、初代オーナーのために取りつけられたと伝えられている。そのオーナーは長年の「ポルシェ クラブ オブ アメリカ(PCA)」会員であり、2000年までこの個体を所有していたとされる。

次のオーナーは数年間所有したあと、前オーナーに売却する。前オーナーもまた長年のPCA会員だった。彼は2.0Lの直列4気筒エンジンに「カレラGT」仕様の「6.10 K26」ターボチャージャーやそのほかのコンポーネントを組み込んで改造を施し、地元のクラブイベントでこの924ターボを披露していた。

ベースとなった「ポルシェ 924 カレラGT」といえば、ポルシェがル・マン24時間レースに参戦するために製作したホモロゲーションモデルであり、熱狂的なポルシェファンにとっては神格化された特別な存在だ。その由緒あるパーツを的確に組み込むというアプローチは、まさにポルシェの歴史に敬意を払った「アウトロー」なカスタムといえるだろう。

さらに、慎重に検討されたパフォーマンス向上のための追加パーツとして、「アウディ 200ターボ」の北米仕様車「アウディ 5000」用の大型スロットルボディや「PWR」社製の空水冷インタークーラー、アフターマーケット製オイルクーラー、「ビリー ボート」社製のB&Bステンレススチール製キャットバック(触媒つき)エキゾーストシステムが装着された。

そして前オーナーは、その所有期間中に約7000マイル(約1万1000km)を走行したのち、2016年にマグナス ウォーカー氏にこのポルシェ 924ターボを売却する。

このユニークなポルシェの興味深い特徴としては、一目瞭然のワイドボディキットやBBSホイールに加え、924の北米限定バージョン「マリオ アンドレッティ シグネチャーエディション」専用のMOMO社製ステアリングホイール、緑色の目盛りが入ったメーター類、そして車内から操作するターボブーストコントローラーなどが挙げられる。

マグナス愛車のノーマル924ターボの5倍以上の競値を付けた「アル ホルバート製ワイドボディキット」付きの驚愕の価値

RMサザビーズ北米本社は

「一般的な仕様のポルシェ 924ターボよりも高いパフォーマンスと、それにふさわしいルックスを兼ね備えており、トラックデイや山道でのドライビングに最適な1台となるでしょう」

とPRしつつ、とくに内装のコンディションからすれば過大評価にも映りそうな45000ドルから50000ドル(邦貨換算約715万円から795万円)のエスティメートを設定。そのうえで「Offered Without Reserve」、つまり最低落札価格は設定しなかった。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることからオークション会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むことも期待できる。ただしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札されてしまうというリスクも二律背反的に持ち合わせる。

そして1週間にわたって行われたオンライン競売では、エスティメートの上限を大きく超える7万7000ドル。つまり、現在のレートで日本円に換算すると約1224万円という、昨今の国際クラシックカー マーケットにおける924ターボの相場価格を遥かにしのぐ高価格で落札に至った。

ちなみに、同じ「The Outlaw Collection」オークションでは、元マグナス ウォーカーが所持していたという条件は同様ながら、ほぼノーマルの924ターボがエスティメート下限に満たない14万850ドル(約236万円)で落札となった事例がある。

これと比較すると、やはりマグナス ウォーカー氏のコレクションを求めるファンにとってみれば、より「アウトロー」感の強いポルシェこそが魅力的としている傾向を示した結果といえるかもしれない。

※為替レートは1ドル=159円(2026年4月22日時点)で換算

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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