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「ビデオオプション育ち」のSUPER GTレーサー 井口卓人!? 「ドリフト経験ほぼゼロ!」なのにスバルBRZでFDJ開幕戦に挑む理由とは?

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

  • GR 86/BRZ Cupレースで井口自身が関わっているメーカーの協力もあって車両は仕上がった
  • 100Rからの高速進入、そして振り返しからのインクリップに付かねばならず、その細かな調整が聞かず流されてしまったり減速してしまったり、と高度なテクニックが必要とされる
  • 井口選手のチーム「VEICOLO」は若手育成にも力を入れており、FDJ2クラスに18歳のジェイス(No.23 JZX100 MARK II)と中学生のHINATO(No.620: JZX100 CHASER)の2名の若者を擁して参戦。ジェイスは2026開幕戦優勝を果たしている
  • FDJのYouTubeも全戦見ていたという井口選手。大湯選手が回を追うごとに上手になって、で、最終的に奥伊吹でファイナルまで進出して準優勝したが「勇気をもらったような」という
  • 走行後は映像を確認。「自分がこう出来てるなっていう感覚と、外からの目ってやっぱ全然違ってて、まずそこを一致させる作業をしてて、ちょっとずつ一致し始めてます」
  • ブリヂストンのRE-71RZを使用する井口卓人選手。タイヤのグリップ感についても「すごくいい感覚」と語った
  • 井口選手にとって初めての追走。相手は経験豊富の実力派の益山航選手。スタートの合わせや白煙の中の後追いと単走とは全く異なる難しさがある
  • スバル BRZ:FDJ競技車両に装着されたブリヂストン「POTENZA RE-71RZ」。ストリートラジアルながら高いグリップ性能を誇り、ドリフト競技でも存在感を示すタイヤだ
  • ガレージでドリフト仕様のBRZとともに立つ井口卓人選手。No.88 VEICOLO with BRIDGESTONEから2026年FDJに参戦する
  • BRZはライバル他車同様に1000馬力越え。シーケンシャルシフトを採用している

SUPER GTのグリップ王者がスバルBRZでドリフトに挑む、原点は少年時代の「ビデオオプション」!?

SUPER GTでスバルBRZ GT300を操る井口卓人選手(38歳)が、2026年4月に富士スピードウェイで開幕したフォーミュラ・ドリフト・ジャパン(FDJ)に初参戦しました。少年時代から「ビデオオプション」でドリフトに憧れてきたというグリップレーサーが、なぜ今ドリフトの世界へ踏み込んだのでしょうか。ドリフトに憧れた少年がGTレーサーになり、さらにドリフトに」挑戦する驚きの経緯と本音を聞いてみました。

SUPER GT王者の井口卓人選手は「ビデオオプション育ち」!? かつての憧れだったドリフト競技への新たな挑戦!

フォーミュラ・ドリフト・ジャパン(FDJ)の2026シーズンが、4月24日(金)〜26日(日)、富士スピードウェイを舞台に幕を開けた。FDJは2004年にアメリカで誕生したフォーミュラ・ドリフトの日本版シリーズで、2015年からシリーズ戦として開催されている。「いかにカッコよく、激しくクルマを滑らせるか」を厳格な基準で審査するドリフト競技だ。

この2026シーズンから新たに参戦する注目のドライバーがいる。それが井口卓人選手(No.88 VEICOLO with BRIDGESTONE/ZD8 BRZ)だ。SUPER GTではR&D SPORTからGT300クラスに山内英輝選手と組み、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORTを走らせている。スーパー耐久シリーズやGR86/BRZ Cupにも参戦する、福岡県柳川市出身・現在38歳のマルチなドライバーだ。

SUPER GTからFDJへの参戦といえば、過去に大嶋和也選手(TGR TEAM ENEOS ROOKIE)や大湯都史樹選手(TGR TEAM KeePer CERUMO)といった顔ぶれが挑戦してきた実績がある。また、2度のWRC王者に輝いたカッレ・ロバンペラ選手も2023年および2024年にスポット参戦し、初戦となったエビス戦でいきなり優勝を飾っている。

そんな井口選手がドリフト競技に挑戦すると聞いて世間は驚いたが、本人はいたって落ち着いた様子で経緯を語ってくれた。

「ずっとグリップ走行をやってきたんですけど、クルマに興味を持ったきっかけはドリフトだったんです。ビデオオプションを見て育った感じで、やっぱりドリフトには興味があって。D1GP(2001年に発足したドリフト競技のシリーズ)の発足当初からずっと見ていました。でも、レーシングカートを始めてグリップになって、SUPER GTへ繋がってきた。年齢を重ねて、ある程度レース界で落ち着いてきた段階で、大湯選手とか大嶋選手が挑戦していたこともあって、今一度ドリフトという競技にトライしてみたいという思いがあって」

きっかけについてもこう続けた。

「ドリフトに関係している方からチームを紹介していただきました。せっかく自分でやるなら、ドリフトにスバルが出ていないのでBRZを使って裾野を広げていきたいという話になって。去年末に、GR86とBRZだけのワンメイクのドリフト大会があって、そこにBRZで出たのが最初の繋がりです。そこからFDJへ繋がったという流れになります」

ドリフト競技未経験の井口卓人選手が挑むFDJ! ドリフト独特の挙動に格闘する「グリップの達人」

こうしてBRZのドリフト仕様車が完成したが、競技走行の経験はほぼゼロだ。実際の走りについて率直に語ってくれた。

「めちゃくちゃ難しいなって、率直に思います。スライドさせながら狙ったポイントに行くことの大変さを改めて感じています。そういったポイントごとの小技がまだ全然できない。あと2本しか走れないという緊張感もあります。GTではスリックタイヤを3周、4周、5周かけて熱入れしますが、これは短い区間でミスなく決めなきゃいけない。ミスをしたらアウトになるこの緊張感は、4輪のグリップレースでは味わえないものですね」

ドリフト車両の特性についても、こう語った。

「感じたことのないパワー感があること、そしてハンドルがよく切れることが率直な感想です。足回りは角度をつけた状態で安定するという仕様らしいんですよ。グリップドライバーとしてなかなかそこまで持っていけないので、その安定するポイントを見つけるのが大変です。今回、師匠として日比野哲也さんに来ていただいているんですが、『そこに持っていって』と言われても…。まだ走りが定まっていない感じがするので、もう少し慣れて、しっかりその角度まで持ち込めれば、この車のパフォーマンスを生かしていい走りができると思っています」

車両は開幕戦の約1ヶ月前にできたばかりの新車で、「ほぼ走っていない」状態での参戦となった。ポテンシャルはまだ半分も引き出せていないとしながらも、こう前を向く。
「走行するたびに感覚は掴めてきているので、その精度を少しずつ上げていくことに取り組んでいます。クルマ的にはかなりいい感覚で、タイヤのグリップ感もいい。あとは自分の調整力が上がるといいなと思っています」

初参戦ながら決勝進出を果たした井口卓人、今季はエビスと菅生に参戦予定で「ドリフターとしての成長」に期待

さすがはレーシングドライバーというべきか、車両の繊細な挙動を把握して予選ポイントを稼ぎ(2本目こそ失敗したものの)、決勝トーナメントへの進出を果たした。しかし、決勝の追走では惜しくも敗退となった。

他のレースとのスケジュール重複もあり、2026年シーズンは第3戦エビス(6月13〜14日)と第4戦菅生(7月11〜12日)の2戦に絞っての参戦を予定しているという。今後のドリフターとしての成長に注目したい。

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  • 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)
  • 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)
  • 1969年生まれ。美術大学で日本画を学んだ後に、編集プロダクション数社を経てフリーランスライター&フォトグラファーに。編集者時代にかかわってきたモータースポーツ取材を続け、現在も2輪4輪問わず国内外のサーキットやラリーシーンを取材している。日本モータースポーツ記者会会員。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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