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世界グループB選手権288GTO vs 959が幻に! それでも色褪せない超弩級スーパーカー「フェラーリ288GTO」誕生の舞台裏

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

  • フェラーリ 288GTO:V8ツインターボのミッションケースが覗く、凄みに満ちたリアエンド
  • フェラーリ 288GTO:最高速度300km/hを優に超える驚異的なパフォーマンスを誇る
  • フェラーリ 288GTO:400psのV8ツインターボへ走行風を導くサイドインテーク
  • フェラーリ 288GTO:名門ピニンファリーナがデザインを担当しスカリエッティが架装した
  • フェラーリ 288GTO:フェラーリ 250GTOへの敬意が込められたエアスリット
  • フェラーリ 288GTO:驚異的なパワーを路面へ伝える、星型意匠のマルチピースホイール
  • フェラーリ 288GTO:グループBを見据え272台のみ生産された純コンペティツィオーネ
  • フェラーリ 288GTO:308GTBの面影を残しつつも圧倒的な凄みを放つフロントマスク

古き良き美風と最新技術の結晶! 最高の名跡を受け継いだ超弩級スーパーカー

毎年4月に千葉県の幕張メッセで開催される「オートモビルカウンシル2026」のテーマ展示では「Designed by ピニンファリーナ」が大きな注目を集めました。同イベントのアイコンとして展示された珠玉のモデルのなかから、ベルリネッタ黄金時代の最期を飾るフェラーリの傑作「288GTO」をピックアップ。名跡を受け継いだ超弩級スーパーカーの歴史と真価をご紹介します。

コンペティツィオーネの証! 最高の名跡GTOを受け継ぐもの

1962年に実戦投入された「250GTO」は、フェラーリが生んだ最高傑作のレーシングカーとして、長く語り継がれてきた。そのため、「レース出場のための型式認定」を意味する「GTO」という栄光の名を冠することは、フェラーリにとって特別な意味を持っていた。

この名跡が復活したのは、1980年代前半のことだ。当時、晩年を迎えていたエンツォ・フェラーリは、市販車たちが、本来フェラーリとしてあるべき「レース直系のセオリー」から外れていくことに危機感を抱いていた。 彼は部下たちに、最新テクノロジーを駆使しながらも、自らの理想を具現化した「究極のフラッグシップ・スーパーカー」の開発を命じた。

グループB参戦を見据えた新設計V8ツインターボで400馬力!!

当時のF1は、1.5リッター・ターボエンジンの全盛期だった。エンツォはこのF1マシンの勢いを新型車に反映させるべく、伝統の12気筒ではなく、あえてV8ツインターボのパワートレインを選択した。

エンジン(Tipo F114B)は、当時ランチアの耐久用レーシングカー「LC2」にも使われていた技術をベースに開発した2855ccのV8エンジンに2基のIHI製ターボを組み合わせ、400馬力を捻出。そのエンジンパフォーマンスから、最高速度は時速300kmを軽々と超え世界中を驚愕させた。

いっぽうシャシーは、すでに定評のあった「308GTB」用から発展したもの。ホイールベースを延長した鋼管スペースフレームに、レオナルド・フィオラヴァンティが率いるピニンファリーナのチームがデザイン、スカリエッティが架装したボディが組み合わされることになった。ボディにはカーボンやケブラーといった複合素材(コンポジット)を多用することで、徹底した軽量化を図った。

これらの結果、フェラーリ 288GTOはエンツォが思い描いた通り、この時代における純レーシングカーに限りなく近い「超弩級スーパーカー」として開発されることになった。

幻となったグループB世界選手権! それでも色褪せない圧倒的存在感とその先の未来

このマシンが誕生した背景には、当時の競技規定「グループB」の存在があった。レースへのホモロゲーション(公認)を得るため、フェラーリは規定の200台を上回る272台を生産した。

しかし、歴史の皮肉が彼らを待ち受けていた。他メーカーの不参加やラリー界の4WD化やWRCでの事故多発などによって、グループB規定に参戦し288GTOが輝くはずだったレースの舞台は、実戦投入を前に消滅してしまった。ちなみに288GTOのライバルとして開発されたマシンは、ポルシェ959(のちに961としてル・マン参戦)、ジャガーXJ220(V12気筒4WDで企画されたがV6ツインターボMR)、BMW  M1など、仮に「グループBレース世界選手権」が実現されていたとするとさぞ盛り上がったと想像できる。

それでも、288GTOの価値が揺らぐことはなかった。開発責任者のニコラ・マテラッツィが「このモデルこそが、本物のフェラーリの復活だった」と語る通り、そのアグレッシブな美しさと性能は、世界中に強烈なインパクトを与えるに充分だった。

そして、この「行き場を失った最強のメカニズム」は、さらなる進化版である「288GTOエボルツィオーネ」を経て、のちの不朽の名車「F40」へと結実していくことになるのだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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