富士でGT300マシンを追え! Office MのメルセデスAMG「GT S」デモカー最新仕様を徹底解剖
2026年6月7日、埼玉スタジアム2002で開催されたインポートカー・カルチャーイベント「ICON」。その出展ブースにひときわ異彩を放つ1台があった。埼玉県三郷市に拠点を置くAMGスペシャルショップ「Office M」が製作するメルセデスAMG「GT S」をサーキット仕様に仕上げたデモカーだ。ノーマルで購入してからおよそ1年かけてアップデートを重ねた1台で、目指すのはGT300マシンに迫るラップタイムだという。
代表自らハンドルを握る「走るためのデモカー」
このデモカー誕生の背景には、Office M代表自身のサーキット経験がある。以前はメルセデスAMG「C63クーペ」で富士スピードウェイに通っていたが、あるきっかけからC63を手放し、次の1台としてAMG GTを選択。「会社のプロジェクトとして、富士で楽しく走りたい」というコンセプトのもと、ゼロから仕立てていった。代表自らが開発ドライバーを務め、昨年2月の富士デビュー時は1分59秒だったタイムが、同年12月には1分48秒台にまで縮まっている。AMGで走る楽しさをカスタマーに伝えるため、走行動画をYouTubeで積極発信しているのもこのプロジェクトの特徴だ。
約700psのエンジンとスリックタイヤで武装した本格派
エンジン系の核となるのがGCGハイフロータービンだ。イベンチュリ製エアクリーナー(通常とはリバースマウントとなる英国製カーボンエアクリーナー)、ダウンパイプ、ワンオフチタンマフラー、CSFヒートエクスチェンジャーと組み合わせ、仕上げにOffice Mオリジナルのフルオーダーモデルで仕上げたECUマッピングとの相乗効果で、現在の最高出力は700ps弱に達している。タービンのさらなる大径化も近日中に計画中で、すでに部品は手元にあるという。

足まわりはエンドレス製2wayダンパー(フロント18kg/mm・リア20kg/mm)を採用し、キャンバーブラケットでフロント4.5度・リア3.5度のネガティブキャンバーを設定。ブレーキは前後ともにエンドレスレーシングMONO6キャリパーとフロント385mm・リア355mmの大径ローターで武装する。「安心して止まれる信頼感があってこそ、アクセルを踏み切れる」という思想が、このデモカーの設計を貫いている。
ホイールはOffice Mオリジナルのフォージド(鍛造製18×11JJ・18×11.5JJ)をセット。サーキットを走るAMG GTユーザーの多くが純正相当の19〜20インチのハイグリップタイヤを選ぶ中、このデモカーはダンロップ製のレーシングスリックを装着するため18インチにインチダウンしている。レーシングスリックの規格は18インチが業界標準で、GT3やGT300マシンも同サイズを使用している。本格的なスリックを履くなら18インチ一択であり、その選択がこのデモカーのストイックな方向性を表している。
ボディには、このプロジェクトにスポンサーとして参画したドイツのオイルブランド「リキモリ」のロゴがラッピングされている。車を作り上げた後にスポンサーシップが成立したというもので、「ショップにスポンサーがつくのは珍しい」と代表自身も語る、異例のコラボレーションだ。インテリアは純正ロールバー、ブリットフルバケット(前後席)、6点式シートベルト、スパルコステアリングを組み込んだ本格仕様に仕上がっている。

狙うはGT300マシン! デモカーのアップデートは続く
メルセデス・ベンツ専門誌「Only Mercedes」の取材時にプロドライバーの黒澤治樹(SGTシリーズのGT300クラスにLEONが擁するレーシングチームの現・チーム監督で2018年/2025年同シリーズチャンピオン)氏がストリートで試乗した際も「ブレーキが安心して踏める」と太鼓判を押し、次回はサーキットでの走行を希望しているという。サーキット仕様のAMG GTのなかでも際立ったポテンシャルを持つ1台に仕上がっている。
このデモカーの最終ゴールは富士スピードウェイでGT300マシンを追い回すこと。「市販のGTがなんであんなに速いの?って言われたい」という言葉に、このプロジェクトの本質が凝縮されている。今後の課題は、現在2〜3周で水温管理が必要になる冷却系の強化、リアスポイラーとアンダーパネルを含むエアロパッケージの投入、そしてリアグリップ不足を補うワイドスリックへの換装の3点。ワンオフ製作で理想の仕様を追い求め、GT300マシンとのタイム差を着実に縮めていく。
















































