往年のF1名車から最新限定EVまでルノーの情熱がグッドウッドに集結
イギリスのウェスト・サセックス州に広がるグッドウッド・ハウス。この聖地で2026年7月9日から開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で、ルノーは過去の輝かしいモータースポーツの歴史と、電動化がもたらす未来を融合させた圧巻の展示を行う。その主役となるのが、イギリスで初の一般公開を迎える電動ミニ・スーパーカー、ルノー「5ターボ 3E」だ。往年の名ラリー車をEV(電気自動車)として大胆に再解釈したモンスターマシンとは一体どんなスペックに仕上がっているのか。
往年のラリーイメージそのままにルノー 5ターボ 3Eが市販化へ向けて走り出す
ルノーの歴史で、ラリー競技を席巻した伝説のルノー「5(サンク)ターボ」は特別な存在である。その名車を現代のEV時代に向けて大胆に再解釈したのが、ルノー 5ターボ 3Eだ。このモデルは、リアに2基のインホイール・モーター(車輪内に配置する原動機)を搭載し、実に555hpの最高出力と4800Nmという驚異的なトルクを発生させる。公道走行が可能なルノーのクルマとしては史上最強のスペックを誇っている。
カーボンファイバー製の専用シャシーを採用することで、車体重量は約1450kgに抑えられている。その結果、0-62mph(約100km/h、時速100キロメートル加速)は3.5秒以下というスーパーカー顔負けの俊足を実現した。さらに先進的な800ボルトのアーキテクチャー(基本設計)を採用しており、330kWの超急速充電を利用すれば、わずか15分で15%から80%までの充電が可能となっている。

マニアにとって見逃せないのは、この過激なマシンが単なるコンセプトカーで終わらないことだ。生産台数は1980台に限定され、価格は14万ポンド(現在のレートで約2800万円)からとなっている。すでに受注が開始されており、2027年からの納車が予定されている。グッドウッドのヒルクライムでは、経験豊富な開発テストドライバーであるアルチュール・フェリエール氏とダビッド・プラシュ氏がステアリングを握り、その圧倒的なパフォーマンスを観客の前で披露する。
F1の歴史を変えたルノー「RS10」やチャンピオンマシンのルノー「R25」も集結
今回のグッドウッドでは、最新のEVだけでなく、ルノーのモータースポーツにおける偉大な遺産も惜しみなく公開される。その筆頭が、1979年第8戦母国フランスGPでジャン=ピエール・ジャブイユのドライブにより勝利したF1マシン「RS10」だ。F1の歴史上でターボチャージャー(過給機)エンジン搭載車として初めてグランプリを制した、記念すべきマシンである。他マシンが3リッターのNAエンジンで戦う中、ルノーは1.5リッターV6の両バンクをターボで武装した「ルノー ゴルディーニEF1」エンジンで勝利した。この革新的なマシンもまた、ルノー 5ターボ 3Eとともにヒルクライムのコースを疾走し、新旧のターボパワーと電動パワーの共演を実現する。

さらに静態展示ではあるものの、2005年にフェルナンド・アロンソ選手に自身初のワールドチャンピオンシップをもたらしたルノー「R25」も姿を現す。特徴的なブルーとイエローのカラーリングに包まれ、3.0リッター自然吸気V10エンジンが奏でる耳をつんざくような咆哮は、近代モータースポーツの歴史でもっとも崇拝されている存在のひとつである。
会場には1985年のツール・ド・コルスで優勝を果たしたルノー 5ターボも展示され、オリジナルから現代の電動モデルへと至る系譜を直接感じ取ることができる。往年の名車と現代における電動化の再解釈を繋ぎ合わせるという、ルノーの熱い想いが体現された展示である。
手の届く次世代コンパクトEV、ルノー「トゥインゴE-Tech」の初公開にも注目
ルノーの視線は、極限のパフォーマンスだけでなく、我々の日常的なモビリティにもしっかりと向けられている。会場のスタンドでは、数々の賞を受賞しているルノー「5(サンク) E-Tech エレクトリック」やルノー「4 (キャトル)E-Tech エレクトリック」に加え、ボタンや音声操作で開閉可能なキャンバスルーフを備えた新作、ルノー「4 E-Tech エレクトリック プラン・シュド」が展示される。
そして、グッドウッドで初公開されるルノー「トゥインゴ E-Tech エレクトリック」は、手頃な価格帯のEVとして大きな話題を呼んでいる。都市部での使用を想定したコンパクトなボディに、ワンペダルドライブ(アクセルペダルのみで加減速する機能)やGoogleを内蔵したOpenR Link(車載インフォテインメントシステム)などの最新機能を搭載する。2万ポンドを下回る開始価格を目標としながら、WLTPモード(国際調和排出ガス・燃費試験サイクル)で最大163マイルの航続距離を確保している点も非常に魅力的である。

甲高い音色を奏でるV10エンジンや、過激なターボチャージャーの吸排気音に心躍らせてきたクルマ好きにとって、完全電動化の世界はどこか寂しさを伴うものかもしれない。しかし、あのサンク ターボの強烈な張り出しフェンダーと狂気じみた走りの哲学は、モーターという新たな心臓を得て、確実に現代へと受け継がれている。内燃機関の歴史に敬意を払いながらも、次世代のパフォーマンスを容赦なく追求するルノーの姿勢には、大人のロマンが色濃く漂っている。グッドウッドの丘を駆け上がるルノー 5ターボ 3Eの姿は、我々にクルマの楽しさが決して失われないことを証明してくれるはずだ。



































