1973年式ホンダ「ライフ」のオートマチック仕様は、エンジンを438ccへボアアップして全国を走り回れる快適クルーザーに!
サブロク軽(排気量360cc規格の軽自動車)というと、パタパタと2ストロークの排気音を響かせてのんびり走るイメージが強い。そんな先入観をくつがえすクルマを、旧車イベントの会場で見つけた。チューニングされたエンジンとオートマチックを組み合わせ、快適に流せるホンダ「ライフ」だ。長年このクルマに乗り続けるオーナーの愛情あふれるカスタムを取材した。
大ヒットしたN360の後継として初の水冷エンジンを搭載する
初代ライフは、ホンダが大成功を収めたホンダ「N360」の後継として1971年6月に登場する。ホイールベースは「NIII360」から80mm延長され2080mmとなった。2ドアと4ドアをそろえ、居住性の高さもあって人気を集める。
1971年7月にはオートマチックが加わった。搭載されたのは自社開発のトルクコンバーター式3速フルオートのホンダマチックで、自動変速のDレンジと、各ギア固定の3、2、1レンジからなる7ポジション(P-R-N-D-3-2-1)であった。ちなみに、初代ライフの水冷直列2気筒EA型エンジンは、空冷を貫いてきたホンダにとって、水冷へ方針を転換した記念碑的なユニットである(EA型・水冷4サイクル直列2気筒OHC、356cc)。
旧車イベントの会場で希少なオートマチック仕様を発見する
サブロク軽でオートマチックを積む個体は、現存数が非常に少ない。360ccという排気量制限のもと、限られた出力を効率よく使うためにマニュアルトランスミッション(MT)を組み合わせるのが一般的だったからだ。車種によってはオートマチックトランスミッション(AT)の設定もあったものの、選ばれる比率は低かった。

そんななか、会場に並んだサブロク軽のなかに、「AUTOMATIC」のエンブレムをリアゲートに貼った1台を見つけた。オーナーの岩本さんは「このクルマは1973年式のライフ オートマチックだ」と語る。岩本さんはこのクルマの前にもライフのマニュアル仕様に乗っていた。事故をきっかけに乗り換えることとなり、何件か専門店を回って探していたとき、このオートマチック仕様を見つけて手に入れたという。
購入は1988年のことで、所有してすでに37年になる。今回登場した岩本さんのライフはCUSTOMというグレードで、貴重なオートマチックモデルとなる。岩本さんによると、オートマチックモデルは現存台数が非常に少なく、こうしたイベントにエントリーしていても、ほかの同仕様にはほとんど出会えないという。
エンジンから足回りまで徹底してカスタムされている
岩本さんのライフは、単なる希少車の維持にとどまらず、エンジンから足回りまで一貫して手が入れられている。1990年ころ、エンジンを438ccへボアアップし、ツインキャブ化して出力を高めた。これが数値以上に快適さへつながり、高速道路を普通に流せるようになり、日本全国のイベントに参加できるようになったという。
その後1992年にはレストレーションを施したうえで、当時のシルバーをオマージュし、メルセデス・ベンツのパールグレーメタリックでリペイントした。さらにウインカーとテールレンズは、ワンオフのスモークタイプを装着している。内装も純正のパターンを踏襲し、青いビロード生地で張り替えた。足回りはCUSCO(クスコ)の車高調(車高調整式サスペンション)をベースに、ビルシュタインのショックアブソーバーを組み込んだ。これで乗り心地も格段によくなったという。
ホイールは懐かしのヘッド40をチョイス。マルチピッチのため装着するとオフセットもぴったり決まったそうだ。さらにオーディオまで組み込み、快適に流せるオートマチックで全国を走り回っている。ちなみに、エンジンルームはブルーをアクセントカラーに美しくディテールアップされている。
サブロク軽は非力で遅い、という枠に岩本さんは収まらない。438ccのボアアップとツインキャブ、現代の足回りとオーディオを組み合わせ、半世紀近く前の小さなホンダを全国へ連れ出す道具へと磨き上げた。37年という歳月は、貴重な1台を維持してきた記録であると同時に、1台のクルマと長く向き合い続けてきた時間そのものである。流せる速さと心地よさを手にしたこのライフは、これからも岩本さんとともに日本各地のイベント会場へ姿を見せるはずだ。










































