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家族のミニバンが街道レーサーに?トヨタ「ヴォクシー」を1980年代風に激変させた衝撃

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TEXT: 高橋陽介(Yosuke Takahashi)  PHOTO: 泉 晟太郎(IZUMI Jotarou)

左右で異なるホイールと純正スパークリングレッド塗装で個性を主張したトヨタ「70系 ヴォクシー」

ミニバンのワゴンカスタムといえばシンプル系やプレミアム系が定番となっている。そんななか、往年の街道レーサースタイルで自己流の個性を打ち出したのが“かずっち”さんのトヨタ「70系 ヴォクシー」だ。目を引くアドバンカラーはラッピングではなく塗装。しかも右と左でホイールが違う。その徹底したこだわりの中身に迫る。

トヨタ「70系 ヴォクシー」になぜアドバンカラーをチョイスしたのか

大人世代の心をつかむアドバンカラーが、この1台の最大の見どころである。福岡県の“かずっち”さんが仕上げたトヨタ「ヴォクシー」(ZRR70W)は、ワゴンカスタムのなかでは珍しい往年の街道レーサースタイルをまとう。シンプル系やプレミアム系といった既存のカテゴリーにとらわれず、自己流の個性を存分に主張した1台だ。

注目したいのは、アドバンカラーへの塗り分けをラッピングではなく塗装で仕上げた点である。使用したのは日産純正色のスパークリングレッド。手間もリスクも大きい全塗装を選んだ判断に、オーナーの本気度がにじむ。取材した際も、色の再現へのこだわりが端々から伝わってきた。日産のスパークリングレッドはカラーコードRMRの純正色として実在し、複数の補修塗料が流通している。

フロントとリアで手法を変えたローダウンとネガキャン仕様の中身

足まわりのセッティングも一筋縄ではいかない。ローダウンはACCエアボンバーのエアサスによるもので、車高を自在に操れる。フロントはキャンバーボルト、リアはアクスル加工と、前後で異なる手法を用いてさりげなくネガキャン(タイヤ上部が内側に傾く仕様)へ振っている。

フロントスポイラーはシルクブレイズ、リアはモデリスタと、エアロもメーカーを使い分けた。タイヤはジーテックスHP3000VFMの205/40。ホイールは前後ともに18インチで、リム幅8.5J、インセット38という共通サイズを選ぶ。数値をそろえた上で見た目に変化を付ける狙いがある。

右サイドと左サイドでワークのホイールを変えたアシンメトリカルセッティングとは

この1台を語るうえで外せないのが、完全な左右非対称のホイールセッティングである。右サイドにはレッドの9本スポーク、「ワークエモーションD9R」を装着する。対する左サイドにはマットブラックのメッシュデザイン、「ワークエモーションM8R」を合わせた。カラーリングだけでなくデザインまで変えることで、1台でふたつの表情を楽しめる思い切った手法に仕上げている。

内装にも往年の空気が流れる。ステアリングはVERTEX製のアドバンカラーモデルで、ディープコーンタイプをクイックリリース式でセットした。運転席にはレカロシートを投入し、シートカバーはベレッツァで整えている。天井には14.1インチのフリップダウンモニターを備えた。

そして街道レーサー好きの琴線に触れるのが、70〜80年代のハコスカやローレルでマストアイテムとされたダミーオイルクーラーの存在だ。

“かずっち”さんは老舗ドレスアップパーツブランド「Kブレイク」の大ファンで、モデリスタのリアアンダーから顔を出すオーバルテールのマフラーもKブレイクの特注品を選んでいる。エアクリーナーはZERO1000のパワーチャンバー、フロントのキャンバーボルトはJラインと、細部までブランドにこだわり抜いた。

既存のジャンルをなぞらず、往年の街道レーサーへの憧れを現代のミニバンに落とし込む。全塗装での色再現から左右非対称のホイールまで、“かずっち”さんの選択にはどれも明確な理由がある。1台のヴォクシーにふたつの顔を宿したその姿勢は、カスタムを純粋に楽しむ人の心を映し出している。

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